Mrs. GREEN APPLE(ミセス)『WaLL FloWeR』の歌詞とその意味&魅力について解説していきます。
この曲は、2ndミニアルバム『Progressive』のラスト6曲目に収録された楽曲。
『Progressive』というアルバムは曲順に強いこだわりを持って制作された作品であり、『WaLL FloWeR』はこのアルバムのラストを飾るために書き下ろされた一曲になります。
映画のように、作品が終わった時に満足する気持ちを持てる楽曲にしたくてこの曲を制作したと、作詞作曲を手掛けたVo.大森くんは語っていました。
その言葉通り、今がどれだけ苦しく虚しいものであったとしても、その先にはきっと美しいモノが待っているんだと、未来に繋がるような前向きなメッセージが歌われていきます。
楽曲全体を通して、人間の本質のようなものが描かれているようです。
Mrs. GREEN APPLE(ミセス)公式Instagramの投稿から。
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後半ではこの楽曲の意味などについて詳しく書いているので、是非最後まで目を通してみてください!
それでは早速『WaLL FloWeR』の歌詞紹介から書いていきます。
あくまで筆者自身が解釈したものになるので、一つの参考として受け取っていただけると幸いです。
動画解説:『WaLL FloWeR』歌詞考察してみた
このブログの内容は下記の動画でも解説中!
Mrs. GREEN APPLE『WaLL FloWeR』歌詞
歌手:Mrs. GREEN APPLE
作詞:大森元貴
作曲:大森元貴
収録:2ndミニアルバム『Progressive』
発売日:2015年2月18日(水)
傷は癒え 明日に期待をしてみても
生まれ持った 呪いがさ
解けてしまったら 私じゃないから
人は皆 個々に運命に寄り添って
生きて行かなきゃいけないと
悟るは哀し あの子は壁の花
混沌とした世の中で生きて行くんだ
汚れた人間さ これ以上は御免だ
素晴らしいと思える様に
醜いと思ってみよう
いつか来世に残る花が咲き
崩れぬ様に
明日世界が途方に暮れてしまっても
壁の花には気付きもしないんだろうな
その「価値」が 決して全てではないのだ
生まれて来た 答えがさ
最初から決まっているんなら
人は皆 悲しむ必要なんてない
僅かな光なんかが
腹を空かし喚く 原因なんじゃない?
大した差のない観念なんかが武器となるんだ
わかっているんだ「まだわかっていないんだろう」
愛しても無駄なのに
愛してる私が居る
その心だけは唯一 花を枯らすのを防ぐ
明日世界が途端に終わってしまうなら
人は大切なものに気づくんだろうな
素晴らしいと思える様に
醜さに気づいてみよう
悲しさとは笑顔が在るからだと
愛しても無駄なのに
光を追う私が居る
綺麗と信じる そのものが美しいんだと
実は汚れ腐った此の地
人もなにもかも全部
どうか温かいモノを忘れないように生きて
壁の花は いつか報われるべきだ
世界は貴方の手に拠り 生きて居る
『WaLL FloWeR』歌詞の意味&魅力
この曲のタイトル『WaLL FloWeR』とは直訳すると”壁の花”という意味ですが、実は同時に”仲間はずれ”や”活動に参加させてもらえない人”という意味を持った言葉になります。
第三者目線からの歌詞であることが強く意識されていて、”あなた”という言葉は最後のワンフレーズでしか出てきません。
作詞作曲を手掛けたVo.大森くんは、
『WaLL FloWeR』について過去のインタビューで下記のように語っています。
この作品では抽象的な表現をあえて多く使っていて、リスナーに委ねている部分があります。僕らからは特定の事を決めつけずに、その人がこの作品を聴いて感じた事が全てだと思うので、聴く人の心情や生き方によって聴こえ方が変わる作品になれば良いなと思います。
eggman-Mrs. GREEN APPLE interview
ということなので、
今回の考察は他の楽曲考察以上に参考程度に受け取っていただけると嬉しいです。
公式音源の紹介
Apple Musicにて公開されている公式音源がこちら。
ここからは歌詞解説をしていきます。
1番:歌詞の意味
まずは冒頭Aメロ部分の歌詞から。
傷は癒え 明日に期待をしてみても
生まれ持った 呪いがさ
解けてしまったら 私じゃないから
大小あれど人は誰しも心に何かしらの傷を抱えている生き物。今日が終わり明日がやって来れば、その傷はきっと癒えるはずだと期待をしては裏切られる毎日を過ごします。
しかし仮にその傷が完全に癒えたとしても、それはそれで自分らしさを失ってしまうような気もするのです。それはある意味で、決して解くことのできない呪いのようなものなのかもしれません。
その呪いが解けてしまえば、
傷が癒えることと引き換えに自らのアイデンティティを失ってしまうことになるのです。
誰しもがそんな葛藤を心に抱えながら日々を生き抜いているのでしょう。
このパートではそんな人間の性質について歌われているような気がします。
続く1番A’メロの歌詞。
人は皆 個々に運命に寄り添って
生きて行かなきゃいけないと
悟るは哀し あの子は壁の花
一人ひとり生まれ持った呪い(傷)は違えど、それぞれがその呪いを背負って生きていかなければなりません。それは自分の力ではどうにもできないものであり、一人ひとりに与えられた運命。
ああ、あの子は”壁の花”だ(仲間はずれという運命を与えられた子だ)などと勘付いてしまったとき、なんとも悲しく哀れな気持ちになってしまうのです。
それが抗うことのできない生まれ持った運命だと思えば思うほど、胸が締め付けられるように苦しい。ここではそんな悲哀にまみれた言葉が歌われています。
第三者目線で描かれた歌詞ではあるのですが、ここで描かれる”あの子”とはまさにVo.大森くんのこととも捉えられそうです。
そして1番Bメロの歌詞。
混沌とした世の中で生きて行くんだ
汚れた人間さ これ以上は御免だ
今の世の中は正義も悪も全てがグチャグチャに入り混じった世界。
何が正解で何が間違っているのかの分別さえつかぬ世の中で生きる必要があります。
しかし多くの人は、
誰もが汚れた人間に見えるようなこの世界で生きることに嫌気が差しているのでしょう。
もっと美しい世界に生きたかったと、誰しもが嘆いているのです。
その後続く1番サビの歌詞がこちら。
素晴らしいと思える様に
醜いと思ってみよう
いつか来世に残る花が咲き
崩れぬ様に
明日世界が途方に暮れてしまっても
壁の花には気付きもしないんだろうな
ここではこれまでのパートで歌われた歌詞に対するアンサーが描かれています。
一人ひとりに与えられた変えることのできない運命(傷)。そして人間の力ではどうにもできない混沌としたこの世界。
理想の世界を思い浮かべては、今ある現実に嘆き苦しむということを繰り返すくらいなら、いっそのこと真正面からその醜さにぶつかってみろと言うのです。
そうすることで、周りにある美しいものの存在に気づけるはずだというメッセージが込められているのだと思います。
醜いものから目を逸らすのではなく、あえてそこに目を向けることで、普段は見逃していた素晴らしいものにも気付けるようになるのでしょう。
しかし未だ多くの人は、今ある現実から目をそらし嘆き続けるばかりで、のけものにされた美しいものの存在に気付けぬままなのです。
2番:歌詞の意味
まずは冒頭Aメロ部分の歌詞。
その「価値」が 決して全てではないのだ
生まれて来た 答えがさ
最初から決まっているんなら
“その価値”とは、
“目に見えている部分だけで測られる価値”のことを指しているのではないでしょうか。
目に見えている部分の裏側には、もっともっと多くのものが隠れているのだと言っているのだと思います。それは魅力的なものかもしれないし醜いものかもしれません。
ただ、一人ひとりに生まれ持った運命があるとするならば、彼ら彼女らが目に見えない秘密を隠し持っているということは自明なのです。
続く2番A’メロの歌詞。
人は皆 悲しむ必要なんてない
僅かな光なんかが
腹を空かし喚く 原因なんじゃない?
人は皆悲しむ必要など無いのだと、優しい言葉が投げかけられます。
なぜなら、人間とは皆それぞれが目に見えない傷を抱えている生き物だから。
きっと多くの人がその事実に気づくことなく、目に見えている僅かな部分だけで人を羨んだり憧れたりしているから自分を卑下してしまうのです。
そして2番Bメロの歌詞。
大した差のない観念なんかが武器となるんだ
わかっているんだ「まだわかっていないんだろう」
混沌とした世界の中で、結局人を傷つける武器になるのはちょっとしたすれ違い。
そして、誰しもが正義にも悪にもなりうるのです。
しかし多くの人はそんなことには気付きません。まさか自分が、誰かを傷つけたり仲間はずれにしたりしているなんて微塵も思っていないのです。
そんな現実を前にしてしまっては、多くの人が口にする「分かっている」という言葉は信用できないお飾りのようなものなのだと言っているのかもしれません。
その後続く2番サビの歌詞。
愛しても無駄なのに
愛してる私が居る
その心だけは唯一 花を枯らすのを防ぐ
明日世界が途端に終わってしまうなら
人は大切なものに気づくんだろうな
人を生かすのはいつも愛。
愛こそが人の心を本当の意味で癒やしてくれるもだということが歌われています。
しかし、多くの人はその事実に気がついていないのです。
“明日世界が終わってしまう”くらいの衝撃的なことが起きなければ、彼らがその事実に気づくことは無いのかもしれません。
そして落ちサビ歌詞が続きます。
素晴らしいと思える様に
醜さに気づいてみよう
悲しさとは笑顔が在るからだと
愛しても無駄なのに
光を追う私が居る
綺麗と信じる そのものが美しいんだと
ここで歌われるのは、世の中にはびこる醜い一面から目を背ける人たちへのメッセージ。
理想の世界を思い浮かべては、今ある現実に嘆き苦しむということを繰り返すくらいなら、いっそのこと真正面からその醜さにぶつかってみろと、改めて念を押すのです。
何事も表裏一体。
醜さに気づくことで、そのコントラストとして美しさや素晴らしさが同時に見えてくる。
笑顔が生まれる場所にはきっと悲しさも共存している。
笑顔や喜び、美しさや素晴らしさ、それらに気づくためにはその反対にあるモノたちに気づく必要があるのだと言っているのだと僕は捉えました。
それらに気づくことでようやく、真に素晴らしい世界が目の前に広がるのです。
逆に醜いものから目を逸らせているうちは、何かを愛する気持ちも何かを信じる気持ちも、その全てが無意味で虚しいものとなってしまうのかもしれません。
最後はラスサビのこの歌詞。
実は汚れ腐った此の地
人もなにもかも全部
どうか温かいモノを忘れないように生きて
壁の花は いつか報われるべきだ
世界は貴方の手に拠り 生きて居る
人も何もかもが汚れ腐ったこの世界で、唯一この世界の素晴らしさに気づくことができるのは、仲間外れにされている人たち(wall flower)なのだと言っているような気がします。
彼らはそうやってのけものにされているからこそ、この世界を一歩引いたところから俯瞰して眺めることができるのです。そのおかげで、醜いものも美しいものも全て含めて、この世界に存在する多くの事柄に気づくことができるのでしょう。
そしてこの世界が何とか破滅せずに存続できているのも、そんな彼らのおかげなのです。
だからこそ大森くんは、今は仲間はずれとして扱われているような素晴らしい人たちが、正しく報われる世界であってほしいと心から願っているのだと思います。
ぜひ歌詞の意味を心に刻みながら、この曲『WaLL FloWeR』を聴いてみて下さい!
皆さんはこの曲を聴いてどんな感情を抱いたでしょうか。
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