Mrs. GREEN APPLE(ミセス)『breakfast』の歌詞とその意味について考察していきます。
この曲は、フジテレビ系新ニュース情報番組『サン!シャイン』のテーマソングとして書き下ろされた一曲。
朝食の湯気、背筋を伸ばす「行ってきます」。弱さも迷いも抱えたまま、それでも「私らしくおはよう」と言えるまでを、やさしく背中で押す一曲です。
本記事では、歌詞に込められたメッセージをフレーズごとに丁寧に読み解き、楽曲全体を通じて伝わる深い意味を探っていくので、ぜひ最後までご覧ください!
あくまで筆者自身が解釈したものになるので、一つの参考として受け取っていただけると幸いです。
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Mrs. GREEN APPLE『breakfast』歌詞
歌手:Mrs. GREEN APPLE
作詞:大森元貴
作曲:大森元貴
収録:配信シングル『breakfast』
発売日:2025年6月4日(水)
関係ない 居ない
目の前に居ない人を救う?
難しいことは考えずにいつだってスルー
何気ない言葉に傷つくくせに
あなたこそ正しく言葉を使えずにいる
どこかで泣いてる人が居る
私だって泣きたい夜もある
どうなったって僕のせいでもいいから
「嫌わないでほしい」
愛想ばっかで芯を食った人がただ減る
簡単なことでも考えられずいつだってスルー
大事な事を言葉で伝えたいのに
いざって時にどう言っていいかわかんない
冷めないうちにあったかいご飯を食べよう
行ってきますとご先祖に手を合わせよう
戻れない香りが漂ってきたら
とりあえず今日を生きよう
『私らしく「おはよう」』
あなただけの世界が
だけの世界が
今日も広がっていく
醒めない夢も
情けない現実も
ただ景色になっていく
あなただけの世界が
だけの世界が
今日も広がっていく
他の誰でもない
何でもない
奇跡をあなたは持っている
脆いハイブリッドな
嗜好品をどうぞ
承認欲求が餌になっていく
強気も良いけど僕はちょっと
ヒビが入ってるくらいがいいぜ
知らんけど
馬鹿でも良いんだ
阿呆でも良いんだ
人のあったかい処を
わかっていれば良い
わかっていれば良い
愚かさを諦めなければ良い
あなただけの世界が
だけの世界が
今日も広がっていく
他の誰でもない
何でもない
奇跡をあなたは持っている
冷めないうちにあったかいご飯を食べよう
行ってきますとご先祖に手を合わせよう
戻れないあの日が恋しくなっても
とりあえず今日を生きよう
あなただけの世界が
だけの世界で
『私らしく「おはよう」』
難しいことは
ここらでやめて
身支度を済ませて
陽の光を浴びて
朝食を済ませてゆく
『breakfast』歌詞の意味&楽曲背景
この曲『breakfast』は、朝という誰にでも訪れる時間に「生き直し」の力を見いだす曲。
何気ない言葉で傷つき、言い返す語彙も見つからない自分。承認欲求や”正しさ”の圧に息が詰まる現代だからこそ、「食べる」「手を合わせる」「おはよう」と、最小の善い習慣を置くことで、極めて具体的な所作へと視線を戻してくれます。
抽象的な希望論ではなく、手触りのある生活行為が心を整える。
「とりあえず今日を生きよう」。その反復の先で、”〇〇だけの世界で”私たちは生きていける。そんな現実的で優しい哲学が、この曲の芯だと感じます。
大森くんの書く歌詞は、弱さの肯定と生活者の知恵を軽やかなユーモア(「知らんけど」)で包み込み、朝一番の体温で届けてくれるはずです。
公式MVの紹介
YouTubeにて公開されている公式MVがこちら。
ここからはフレーズごとに歌詞考察をしていきます。
1番:歌詞の意味
まずは1番Aメロの歌詞。
関係ない 居ない
目の前に居ない人を救う?
難しいことは考えずにいつだってスルー
何気ない言葉に傷つくくせに
あなたこそ正しく言葉を使えずにいる
冒頭の「目の前にいない人を救う?」という問いかけは、情報があふれる今の時代における”距離感”の問題を鋭く突いています。遠くの悲劇にはすぐ心が動くのに、近くの人の痛みは「難しいことは考えずに」と見過ごしてしまう。主人公は、そんな自分の矛盾をすでに気づいているのだと思います。
さらに、何気ない言葉に傷つくほど繊細である一方で、「正しく言葉を使えない」自分もいる。この場面で描かれるのは、被害者か加害者かという単純な二分ではなく、一人の中に同居する”壊れやすい二面性”です。
言葉は本来、人を救うための道具なのに、ときには誰かを傷つけ、それが自分に返ってくることもある。その感覚こそがAメロの核心ではないでしょうか。大森くんは断定ではなく問いかけを多く使い、心理の揺れをそのまま置くことで、聴き手の中にある似た感覚の記憶を呼び起こしてくれているのだと感じました。
また、「あなたこそ」と二人称で向ける視線は、実は自分自身にも向けられているのだと思います。責任を他人に押し付けたり、自分を責めたり、その間を行き来する呼吸まで感じられました。大森くんの歌詞は、正解を提示して蓋をするのではなく、聞き手に”考える余白”を与えてくれるのが特徴で、Aメロはその最初の受け渡しの場面になっているのではないでしょうか。
続く1番Bメロの歌詞。
どこかで泣いてる人が居る
私だって泣きたい夜もある
どうなったって僕のせいでもいいから
「嫌わないでほしい」
「どこかで泣いてる人が居る」から「私だって泣きたい夜もある」へ、他人の痛みが自分の中に自然に入り込む流れは、とても生々しく描かれます。ここで主人公は、理屈や正しさよりも、人との関係が続くことを願う本音をさらけ出すのです。
「どうなったって僕のせいでもいいから/嫌わないでほしい」という言葉は、責任を背負うふりをした自己犠牲ではなく、「見捨てられるのが怖い」という不安の告白に近いものだと思います。
求めているのは”正しく”理解されることではなく、ただ”嫌われたくない”ということ。評価や説得を超えて、自分をまるごと受け止めてほしいという渇望が、Bメロの張り詰めた空気を作ります。
Aメロで表れた「言葉をうまく扱えない自分」というテーマと、Bメロで吐き出される「見捨てられる怖さ」がつながり、次のサビに向けて感情が一気に高まります。音楽的にも、解像度は上がっていくのにまだ着地しない”宙吊りの時間”が続くのです。
ここで歌詞は、理屈の勝ち負けを手放し、「嫌われたくない」という一念だけに収束する。だからこそ、この後に続く「伝えたいのに伝えられない」もどかしさが、より強く胸に響くのではないでしょうか。
その後1番A’メロが続きます。
愛想ばっかで芯を食った人がただ減る
簡単なことでも考えられずいつだってスルー
大事な事を言葉で伝えたいのに
いざって時にどう言っていいかわかんない
ここでは、社会で見せる顔と本当の気持ちとのギャップが、一気にはっきりと浮かび上がります。「愛想ばっか」で回る世界で、「芯を食った人」が減っていく、この”芯”という語が示すのは、主張の強さではなく”自分の体温”を持った言葉のことではないでしょうか。
ところが現実は、簡単なことですら立ち止まって考えられず、気づけばまた「スルー」している。肝心なときに正しい言葉が見つからない。ここにあるのは、能力の欠如ではなく”タイミングの恐怖”なのだと思います。
関係が壊れるのが怖くて、言葉を飲み込む。飲み込んだ言葉はやがて自己嫌悪に変わり、さらに言葉が出にくくなる。この負のループが表現されているように感じました。
しかし同時に、主人公は「大事な事を言葉で伝えたい」と宣言してもいます。限界を認めつつ、なお言葉を信じる態度。それは「言葉は危ういが、無力ではない」という詩の中で大事にされている信念で、のちの”所作=朝の儀式”へ繋ぐ前振りにもなっているように感じました。
つまりこのパートは、言葉の不全を嘆くいたものではなく、言葉の再起動に向けた”点火”の局面なのではないでしょうか。
そして1番サビの歌詞。
冷めないうちにあったかいご飯を食べよう
行ってきますとご先祖に手を合わせよう
戻れない香りが漂ってきたら
とりあえず今日を生きよう
『私らしく「おはよう」』
ここでは、視点が抽象的な思考から、日常の動作へと自然に切り替わります。
「冷めないうちにあったかいご飯を食べよう」という場面では、温かさ・匂い・食感といった感覚が、心を”いま、この瞬間”に引き戻してくれます。
続く「行ってきます」や「ご先祖に手を合わせよう」は、特別な意味をあえて説明しない日常の儀式です。理由がなくても続ける習慣だからこそ、心にまっすぐ届きます。こうした挨拶や合掌といった日本的な日課は、過去とのつながりを静かに確かめ、自分を「いま」の時間に置き直す役割を果たしているのです。
そして、続く「戻れない香り」が呼び起こす懐かしさは魅力的ですが、主人公はそこに浸らず「とりあえず今日を生きよう」と現実へと舵を切ります。ここで大事なのは、「とりあえず」という肩の力が抜けたニュアンスです。大きな決意や劇的な変化ではなく、自分ができる範囲の一歩を肯定する。その響きが、完璧さを求めすぎる呪縛をほどいてくれます。
最後の「私らしく『おはよう』」は、ただの挨拶以上のもの。世界に向けて自分をもう一度送り出す、小さな再出発の儀式です。Aメロから続いた内省は、このブリッジで日常の手触りへと着地し、言葉と体が静かに再びつながる感覚をもたらしてくれます。
ポストコーラスパート。
あなただけの世界が
だけの世界が
今日も広がっていく
醒めない夢も
情けない現実も
ただ景色になっていく
あなただけの世界が
だけの世界が
今日も広がっていく
他の誰でもない
何でもない
奇跡をあなたは持っている
ここでは、語りの主語が”私”から”あなた”へと移り、「あなただけの世界」が今日も広がっていく様子が描かれます。特に印象的なのは、「醒めない夢」も「情けない現実」も、どちらも同じように「ただ景色になっていく」と語る視点です。
夢は甘く、現実は苦いと、そんな単純な分け方をせず、出来事をすぐに評価せずに眺める態度がここにあります。良い・悪いの二択に押し込めず、「起きたこと」をただ風景のように受け止める。それこそが、感情に飲み込まれずにいるための鍵なのではないでしょうか。
また、この”あなた”は特定の一人であると同時に、聴く人それぞれをも指しているように思えます。自分の”だけの世界”が、他人の”だけの世界”と隣り合っていることを感じると、個人的な回復は自然と他者への祝福にも変わるのではないでしょうか。
Aメロで見えた自己矛盾、Bメロで通り抜けた見捨てられることへの不安、その先に待っているのは、価値判断を急がないやわらかな視界。このパートは、その穏やかな視界の質感をそっと分け合う場面なのだと思います。
2番:歌詞の意味
2番Aメロの歌詞。
脆いハイブリッドな
嗜好品をどうぞ
承認欲求が餌になっていく
強気も良いけど僕はちょっと
ヒビが入ってるくらいがいいぜ
知らんけど
「脆いハイブリッドな嗜好品」「承認欲求が餌になっていく」とは、現代のSNSや配信サービスなど、プラットフォーム文化への軽やかな風刺ではないでしょうか。他人の反応が”ごはん”のように消費されてしまう環境では、人はつい欲を膨らませすぎてしまいます。
しかし主人公は、そこで説教をせずに、「強気もいいけど」「ヒビが入ってるくらいがいいぜ」と肩の力を抜きます。ここでの”ヒビ”は壊れる前ぶれではなく、光が差し込む入口にもなり得るもの。日本の美意識でいう”侘び寂び”のような肯定感ではないでしょうか。
さらに極めつけは「知らんけど」。この一言で、断言のプレッシャーを和らげ、世界に”逃げ道”を作ります。重たいテーマを軽やかに背負うためのユーモアであり、答えを押しつけず、自分の立ち位置だけを示す。そんな大森くんの倫理も感じられました。
1番で浮き彫りになった「言葉がうまく届かない」感覚に対して、2番Aメロは”完璧に言い切らない勇気”という別の言葉の使い方を提示してくれているのかもしれません。
続く2番Bメロの歌詞。
馬鹿でも良いんだ
阿呆でも良いんだ
人のあったかい処を
わかっていれば良い
わかっていれば良い
愚かさを諦めなければ良い
ここでは、価値の基準がはっきりと逆転します。「馬鹿でも良い」「阿呆でも良い」という言葉は、頭の良し悪しや要領の良さで人を判断しない、という宣言です。
代わりに示されるのは、「人のあったかいところをわかっていれば良い」という指針。この”わかる”は知識の理解ではなく、相手の温もりを感じ取るような体感的な共感に近いものだと思います。
さらに「愚かさを諦めなければ良い」と続くことで、弱さは直すべき欠点ではなく、抱えたまま共に進んでいく”生きる条件”として肯定されます。Aメロで見えた矛盾、Bメロで吐き出された不安、1番A’メロでの言葉のもどかしさ、それらを消すのではなく積み重ねたまま、価値の軸を”あたたかさ”に置き換えているのではないでしょうか。
この2番Bメロは、物語の中での倫理的な転換点になっているように思えます。社会で強く、賢く、正しくあることよりも、目の前の人の温もりを失わないこと。朝を生き抜くために本当に必要なのは何か。その問いに、柔らかくも揺るぎない答えを示してくれているのだと思います。
続くコーラスパートは1番と同様のため割愛。
ラストは2番サビ大サビと続きます。
冷めないうちにあったかいご飯を食べよう
行ってきますとご先祖に手を合わせよう
戻れないあの日が恋しくなっても
とりあえず今日を生きよう
あなただけの世界が
だけの世界で
『私らしく「おはよう」』
難しいことは
ここらでやめて
身支度を済ませて
陽の光を浴びて
朝食を済ませてゆく
ラストはもう一度”朝の儀式”に戻ります。「冷めないうちに」「行ってきますと手を合わせよう」「戻れないあの日が恋しくなっても」と、過去を懐かしむ気持ちを否定せず、それでも今日を生きる方向へと舵を切ります。
特に「難しいことはここらでやめて」という一節は、考えることを放棄する合図ではありません。むしろ、過剰な自己分析をいったん止めるための”セルフケアのスイッチ”なのだと思います。
続く「身支度を済ませて/陽の光を浴びて/朝食を済ませてゆく」という流れは、心を新しくするための手順を体に刻み込むような働きを持っています。これまでのパートで絡まっていた言葉の糸は、この生活のリズムに沿って少しずつほぐれていくのです。
そして最後にもう一度、「私らしく『おはよう』」。この”おはよう”は、ただの挨拶ではありません。自分の生き方を世界に向けてもう一度宣言する言葉であり、聴き手一人ひとりの“だけの世界”を今日に接続するきっかけでもあります。
こうして曲は、「うまく言えない朝」を、”それでも始められる朝”へと静かに切り替えながら幕を閉じます。
ぜひ歌詞の意味にも注目しながら、この曲『breakfast』を聴いてみて下さい!
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