マカロニえんぴつ『ヤングアダルト』の歌詞とその意味&魅力について解説していきます。
この曲は、5thミニアルバム『season』のリード曲としてリリースされました。
大人になりきれず、厳しすぎる現実に絶望する若者に居場所を与えてくれるような一曲。
絶望から確実に抜け出す術はまだ僕たちにも分からないけれど、きっと生きてさえいれば希望の光が差し込むはずなのだと、優しく寄り添ってくれるのです。
それまでは僕たちと一緒に無駄話でもして呑み明かせばいいじゃないかと。
マカロニえんぴつ公式Instagramの投稿から。
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後半ではこの楽曲の意味などについて詳しく書いているので、是非最後まで目を通してみてください!
それでは早速『ヤングアダルト』の歌詞から紹介します。
あくまで筆者自身が解釈したものになるので、一つの参考として受け取っていただけると幸いです。
動画解説:『ヤングアダルト』歌詞考察してみた
このブログの内容は下記の動画でも解説中!
マカロニえんぴつ『ヤングアダルト』歌詞
歌手:マカロニえんぴつ
作詞:はっとり
作曲:はっとり
収録:5thミニアルバム『season』
発売日:2019年9月11日(水)
夢を見失った若者たちは
希望を求めて文学を
はたまた汗まみれのスマートフォンを
握りしめて詩を書き溜める
ハロー、絶望
こんなはずじゃなかったかい?
でもね、そんなもんなのかもしれない
僕らに足りないのはいつだって
アルコールじゃなくて愛情なんだけどな
全てを捧げた大事な恋は
時間をかけて砂になった
いつかは、もしかしたらって
そのインターフォンに
シッポ振ることもなくなった
ハロー、絶望
こんなはずじゃなかったかい?
でもさ、そんなもんなんだよきっと
誰も知らない優しい言葉で
あの子の孤独を殺せてたらな
夜を越えるための唄が死なないように
手首からもう涙が流れないように
無駄な話をしよう 飽きるまで呑もう
僕らは美しい
明日もヒトでいれるために愛を探してる
ハロー、絶望
その足でちゃんと立ってるかい?
無理にデタラメにしなくてもいいんだぜ
僕らに足りないのはいつだって
才能じゃなくって愛情なんだけどな
夜を埋めるための唄が死なないように
欠伸ひとつで悲しみが流せるように
夢の話をしよう 飽きるまで呑もう
僕らは美しい
明日もヒトでいれるために愛を探す
世田谷ヤングルーザー
憂いの晩杯や、写真機の記憶
夜を越えるための唄が死なないように
手首からもう涙が溢れないように
無駄な話をしよう 果てるまで呑もう
僕らは美しい
明日もヒトでいれるために愛を集めてる
『ヤングアダルト』歌詞の意味&魅力
この曲のタイトル『ヤングアダルト』とは、”子供と大人の間の世代”という意味の言葉。
大人になりきれずにいるそんな世代の若者たちは、若き日の夢が次々と打ちひしがれる現実を前に絶望の海に溺れていくのです。
しかしそれは、まさにマカロニえんぴつ自身が通ってきた道のりであり、そんな自分たちの過去を重ねながら優しい言葉が投げかけられていきます。
この曲がそんな絶望の中に立たされている人たちに寄り添い、少しでもその苦しみを分かち合えるようにと、無償の愛を聴く人の心に授けてくれるのです。
人は生きているだけで美しいのだと。
ときには逃げたって良いじゃないかと。
全てを肯定し包み込んでくれるような愛に溢れた一曲となっています。
公式MVの紹介
こちらがYouTubeに公開されている『ヤングアダルト』公式MV。
ここからは歌詞解説をしていきます。
1番:歌詞の意味
まずは冒頭Aメロ部分の歌詞から。
夢を見失った若者たちは
希望を求めて文学を
はたまた汗まみれのスマートフォンを
握りしめて詩を書き溜める
ハロー、絶望
こんなはずじゃなかったかい?
でもね、そんなもんなのかもしれない
僕らに足りないのはいつだって
アルコールじゃなくて愛情なんだけどな
“夢を見失った若者たち”という言葉、それはこの曲の主人公を表した言葉であり、まさに『ヤングアダルト』と呼ばれる人たち。
子供と大人の間に立たされたヤングアダルトは、往々にして社会の厳しすぎる現実を前に夢を見失っていきます。
そんなヤングアダルトの1人である主人公は、どうにか希望の光を見失わぬようにと、必死に詩を書き溜めては日の目を見ることを夢見てもがいているのでしょう。
もちろん現実はそんなに甘くはなく、どんなに大きな夢を見て突っ走ってきたとしても、時にその夢が閉ざされていく気配を感じずには居られません。
そしてそれは主人公たちヤングアダルトにとって絶望を意味する出来事なのです。
しかしそんな出来事に対して、柔らかく砕けた態度で「ハロー、絶望」という言葉が投げかけられます。きっとこれは、マカロニえんぴつからのメッセージなのでしょう。
絶望を真正面から受け止めても仕方ないでしょうと言わんばかりに、現実をあっさりと受け止めてしまうようなその言葉。
ちょっとだけ視点を変えて”人生そんなもんなのかもしれないな”と、絶望すらも受け入れてしまうことで、少し気持ちが楽になるかもよと教えてくれているような気がします。
そして絶望に直面している主人公たちヤングアダルトもある事実に気付いているのです。
苦しいときや辛いときに僕たちに足りていないのは愛情なのだということに。
しかしそんな事実に気付いていても、何かとその苦しみをアルコールで紛らわせようとしてしまうのもまた、主人公たちヤングアダルトなのかもしれません。
目の前の絶望に対する主人公の悲痛な叫びと、マカロニえんぴつからの優しく寄り添うようなメッセージが歌われたAメロ部分でした。
続く1番A’メロの歌詞。
全てを捧げた大事な恋は
時間をかけて砂になった
いつかは、もしかしたらって
そのインターフォンに
シッポ振ることもなくなった
ハロー、絶望
こんなはずじゃなかったかい?
でもさ、そんなもんなんだよきっと
誰も知らない優しい言葉で
あの子の孤独を殺せてたらな
ここでも引き続き主人公が直面している絶望感が歌われていきます。
Aメロ部分では”夢を見失ったこと”が”絶望”として描かれていましたが、ここでは”失恋”が”絶望”として描かれているようです。
青春の全てを捧げて大切に育んできた恋も、ときには掌から砂がこぼれ落ちるように、時間が経つにつれて少しずつすれ違いを生んでしまいます。
子供の頃はそれでもまたやり直せると、インターフォンの前で期待を膨らませて待っていられたのに、大人の世界に一歩足を踏み込んでしまったが最後、今ではその頃を振り返っては「こんなはずじゃなかった」とただただ絶望に頭を抱える毎日なのでしょう。
そしてあの時もっとこうしてればとか、もっとああしてればとか、そんな後悔に浸る日々を繰り返しているのかもしれません。
しかしここでも、そんな主人公たちヤングアダルトに居場所を与えてくれるような優しいメッセージが歌われます。
ちょっぴり視点を変えて、”人生そんなもんなんだ”と絶望をも受け入れてしまうことで、少し気持ちが楽になるかもしれないよと寄り添ってくれているのです。
そして1番サビの歌詞がこちら。
夜を越えるための唄が死なないように
手首からもう涙が流れないように
無駄な話をしよう 飽きるまで呑もう
僕らは美しい
明日もヒトでいれるために愛を探してる
ここではこれまで描かれてきた『絶望』の中にも、きっと希望の光が差し込む日だって来るんだというポジティブな言葉が並べられていきます。
“手首からもう涙が流れないように”という言葉からは自傷行為が連想できそうです。
それほどまでに絶望を抱え、孤独感に押しつぶされそうになっている人たちがたくさんいるんだということを表現しているのかもしれません。
そんなときにこの曲が貴方に寄り添い、苦しみを少しでも分かち合えればいいなというメッセージが込められているのでしょう。
そして1番Aメロで歌われたように、心の穴を埋めるためには”愛情”が必要なのかもしれないけれど、そんな愛情が見つからないときは、同じ様に絶望を抱えた者同士飽きるまで他愛もない話で呑み明かすのもまたいいじゃないかと歌っているのです。
焦らずゆっくりと自分のペースで、明日を生きるための希望を探していけば良いのだと。
僕たち人間は誰しも生きているだけで美しい生き物なのだからと、全てを肯定して居場所を与えてくれるような優しさが感じられる1番の歌詞でした。
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2番:歌詞の意味
2番冒頭Aメロの歌詞。
ハロー、絶望
その足でちゃんと立ってるかい?
無理にデタラメにしなくてもいいんだぜ
僕らに足りないのはいつだって
才能じゃなくって愛情なんだけどな
ここでもまた絶望に頭を抱える主人公と、そこに優しい言葉で寄り添うマカロニえんぴつの姿が描かれていきます。
絶望に押しつぶされてしまっていないかい?
自分の足で立てているかい?
そうやって優しく語りかけるのです。
夢破れて絶望に打ちひしがれそうなのであれば、今は無理して進む必要は無いんだと。
自分の足で立ってさえいれば、生きてさえいればいつか必ずまた歩き出せるから。
だから僕たちに必要なのは、逆境に負けない強靭なメンタルでも才能でもなく”愛情”なのだと教えてくれているのでしょう。
それは言葉を変えると”逃げても良いんだよ”という意味にも捉えられそうです。
そして2番サビの歌詞がこちら。
夜を埋めるための唄が死なないように
欠伸ひとつで悲しみが流せるように
夢の話をしよう 飽きるまで呑もう
僕らは美しい
明日もヒトでいれるために愛を探す
絶望を抱え真夜中のような暗闇を生きる人たちの孤独を、少しでも和らげられるように。
そして、あくびをすることで出てくる少しの涙で悲しみを流せるくらい、苦しみを抱える人たちに心に寄り添えるように。
この曲『ヤングアダルト』を聴きながら、いつかまた目指すであろう夢の話をして飽きるまで呑もうよと、語りかけられているような気がします。
1番サビと同様、僕たち人間は誰しも生きているだけで美しい生き物なのだからと、全てを肯定して居場所を与えてくれるような優しさが感じられる歌詞が歌われるのです。
その後Cメロの歌詞が続きます。
世田谷ヤングルーザー
憂いの晩杯や、写真機の記憶
“世田谷ヤングルーザー”とは、まさにこの曲で描かれる『ヤングアダルト』のように絶望を抱えて生きていた、”若き日のマカロニえんぴつそのもの”を表した言葉なのでしょう。
過去のインタビューでボーカルのはっとりはこう話していました。
僕ら自身、右も左もわからないままデビューをして、下北沢SHELTERでのワンマン(2016年3月)まではトントン拍子でくることができました。ただ、お客さんがたくさん来てくれる理由がつかみきれていなかったんです。そして、いっぱいいっぱいになってしまったんですよね。
下北沢は東京都世田谷区にある地名のことなので、きっとこのときの記憶が歌詞に反映されているのだと思います。
そんな世田谷の地でルーザー(敗者)となったヤング(若者)こそがマカロニえんぴつであり、そんな現実を前にしてアルコールに溺れた夜のことが思い出されるのです。
そしてここで歌われる”憂いの晩杯や”という言葉には、もう一つ”憂いのバンパイヤ”という意味が重ねられているのでしょう。
それは人間の血液を吸って暗闇の中を生きる怪物のことであり、1番で歌われた自傷行為のことがまた連想させられます。
更には”大好きだった恋人との思い出”を連想させる”写真機の記憶”という言葉を続けて歌うことで、短い歌詞の中にありったけの絶望を詰め込んでいるのです。
そしてラスサビの歌詞がこちら。
夜を越えるための唄が死なないように
手首からもう涙が溢れないように
無駄な話をしよう 果てるまで呑もう
僕らは美しい
明日もヒトでいれるために愛を集めてる
ここでは最後に改めて、これまで描かれてきたような絶望を抱えて生きる人たちに向けた優しいメッセージが歌われていきます。
たまには逃げたって良いじゃないかと。
たまには無駄な話で呑み明かしたって良いじゃないかと。
生きていれば必ずまた前を向いて歩き出せる日が来るから、それまでは同じ絶望を抱える者同士寄り添い合って生きていこうぜと、無償の愛を与えてくれるのです。
ぜひ歌詞の意味を噛み締めながら、この曲『ヤングアダルト』を聴いてみて下さい!
世界にはきっと絶望よりも希望の方が多いのだと、そう信じさせてくれるような一曲です。
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