Mrs. GREEN APPLE

Mrs. GREEN APPLE『Dear』歌詞【意味&考察】不安の中で一歩を踏み出す力を描いたバラードソング(ミセス)

Mrs. GREEN APPLE『Dear』歌詞【意味&考察】不安の中で一歩を踏み出す力を描いたバラードソング(ミセス)

Mrs. GREEN APPLE(ミセス)『Dear』の歌詞とその意味について考察していきます。

この曲は、映画『ディア・ファミリー』の主題歌として書き下ろされた楽曲。

不安の中で希望を見つけ、未来へ進む力をくれる手紙のようなバラードソングになります。

 

本記事では、歌詞に込められたメッセージをフレーズごとに丁寧に読み解き、楽曲全体を通じて伝わる深い意味を探っていくので、ぜひ最後までご覧ください!

あくまで筆者自身が解釈したものになるので、一つの参考として受け取っていただけると幸いです。

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Mrs. GREEN APPLE『Dear』歌詞

楽曲情報

歌手:Mrs. GREEN APPLE
作詞:大森元貴
作曲:大森元貴
収録:配信限定シングル『Dear』
発売日:2024年5月20日(月)

扉の先には
何があるかわからないけど
誰かがきっと貴方を待ってる

 

目の前の今日へ
踏み出す勇気も無いけど
振り返ってみれば
足跡は続いているから

 

左胸の鼓動を感じてる
右の脳で君を愛してる
両の手で誰かに触れて
私は今日も生きてる

 

Bye – 時の流れに任せて
Smile – 貴方の宝物よ
9月の花の色に準(なぞら)えて
強く誓う 愛したい

 

涙も枯れてしまう
哀しみを食らう日もあるけど
貴方はきっと強さも持ってる

 

「生きていけない」
無気力な私を「無価値」だと思っても
立ち止まってみれば
風をまた感じられるから

 

気持ちは周る
螺旋階段のように
鳥が羽ばたく様には行かずとも
時代は変わっていく

 

幼さでパンを作って
大人びてジャムを塗ろう
いつかまた机を囲んで
懐かしい話をしよう

 

左胸の鼓動が止まるまで
ちゃんとこの世界を愛したい
両の腕で誰かが抱きしめてくれるまで
今日も生きてる

 

無くしたものを探す
道が廃れていようとも
誰かを失うのも人生の一部と
呼ばなきゃいけないなら
どうか

 

左胸の鼓動を感じてる
右の脳で明日を夢見てる
小さな掌の中で
私は夢を握ってる

 

幼さでパンを作って
大人びてジャムを塗ろう
いつかきっと出逢う
貴方を探してる

 

Hi – 時の行方に任せて
Smile – 不安も味方にしてさ
ターコイズの光の奇跡を纏って
「強く誓う愛みたい」

 

壊れそうな場合
私の肩に寄りかかってさ
お互い甘えてみましょう
さぁ 次は何処へ行こうか

ここに記す
貴方へ

 

『Dear』歌詞の意味&楽曲背景

この曲『Dear』は、未来への不安を抱えながらも、それでも今日を生きようとする力を取り戻していく楽曲

『Dear』という一語は、手紙の冒頭で使われる「宛名の前置き」にあたりますが、この曲は曲名から作品の一部となっています。まだ何も語らないまま、静かに息を吸い込むように始まり、その後のすべての内容が「誰かに向けた言葉」として位置づけられているように感じられます

大森くんは、手紙といった形式を上手に取り入れながら、自分の個人的な感情を、誰にでも通じる普遍的な言葉へと見事に置き換えているのではないでしょうか

映画『ディア・ファミリー』が描く「あきらめない家族の時間」とも響き合う、やさしく、そして力強いバラードが、みなさんの「Dear」にそっと届きますように。

公式MVの紹介

YouTubeにて公開されている公式MVがこちら。

 

ここからはフレーズごとに歌詞考察をしていきます

1番:歌詞の意味

冒頭1番Aメロの歌詞。

扉の先には
何があるかわからないけど
誰かがきっと貴方を待ってる

目の前の今日へ
踏み出す勇気も無いけど
振り返ってみれば
足跡は続いているから

冒頭の「扉の先には/何があるかわからないけど」は、「この先に何があるのか想像もつかない」という不安な気持ちを表しています。しかし、「わからないけど」という言い回しによって、その不安をまず受け入れている、ということが印象的です

次の「目の前の今日へ/踏み出す勇気も無いけど」は、視点を未来(扉の先)から現在(今日)に引き戻しています。ここでも「けど」が使われており、2回続けて「けど」でつなぐことで、迷いながらも考えを進めていくリズムが生まれているように感じます。

そして決定的なのが「振り返ってみれば/足跡は続いているから」というフレーズ。

視線が未来→現在→過去と順に移っていき、情報の確かさも「わからない」→「まだ決まっていない」→「確かにあったこと」と、徐々に明確になっていきますつまりこのAメロは、「確かなものは過去にしかない」という冷静な現実を見つめたうえで、そこから「今日に踏み出す理由」を見つけ出そうとしているのではないでしょうか

 

そして1番サビの歌詞。

左胸の鼓動を感じてる
右の脳で君を愛してる
両の手で誰かに触れて
私は今日も生きてる

このパートの「左胸の鼓動」「右の脳」「両の手」という身体の部位の選び方には、左右や体の中心と末端のバランスが意識されているように感じます。

左胸は心臓=感情の中心、右脳はイメージや感情をつかさどる場所、両手は外の世界に直接触れる部分です。つまり、「内側(心)→イメージ(脳)→外側(手)」という順番で、自分の内側から世界へとつながっていく流れが描かれているのではないでしょうか

また、左胸(左側)と右脳(右側)というように、左右を交差させている点もポイントだと思います。これは、心理的な面と身体的な面の両方を強く意識させる工夫かもしれません鼓動は自分の意志では止められない「自然に与えられた動き」であり、右脳の働きは「想像したり、何かを生み出す創造の動き」です

この2つの異なる力を通して、「私は今日も生きてる」というシンプルで力強い自己表現につながっているように感じました。

 

そして1番サビ後半の歌詞。

Bye – 時の流れに任せて
Smile – 貴方の宝物よ
9月の花の色に準(なぞら)えて
強く誓う 愛したい

「Bye – 時の流れに任せて」「Smile – 貴方の宝物よ」というフレーズは、それぞれのキーワード(Bye、Smile)を行の頭に置くことで、見出しのような効果を出しています。「Bye」は手放すこと、「Smile」は大切にしまっておくことを表していて、「失うこと」と「抱きしめること」が同時に起きている様子が伝わってきます。

また、「9月の花の色に準(なぞら)えて」は、季節の変わり目を感じさせる一文。9月は夏から秋へ移る時期なので、様々な花が思い浮かびます。しかし、具体的な花の名前を出さないことで、聞く人それぞれが自分の記憶にある色、たとえばコスモスの淡いピンクやリンドウの紫を、自由に想像できるようにしてくれているのではないでしょうか

ここで使われている「準える(なぞらえる)」という言葉もポイントだと感じました。ただ感情を花にたとえるだけでなく、「たとえる」という行為そのものを表に出すことで、「自分の気持ちをどう整理しているか」まで意識が向けられています。これは大森くんならではの表現の仕方だなと感じました。

最後にある「強く誓う 愛したい」は、名詞(誓い)ではなく、動詞(誓う・愛したい)であり、これは「何かを達成した」という結果よりも、「続けていくこと」に価値を置いているということではないでしょうか

愛は「ある」か「ない」ではなく、「愛したい」「愛し続けたい」と思う気持ちに意味がある。その未完成な形が、未来への希望や余白を感じさせるのかもしれません。

 

2番:歌詞の意味

2番Aメロの歌詞。

涙も枯れてしまう
哀しみを食らう日もあるけど
貴方はきっと強さも持ってる

「涙も枯れてしまう」という言葉には、感情を出しきって、もう泣くことさえできないような、心の乾きが表れています。

そのあとに続く「哀しみを食らう日もあるけど」という表現では、「哀しみ」を食べるという意外な言葉が使われています。これは悲しみをただ感じて終わりにするのではなく、それを受け入れて、体の中に取り込み、自分の力に変えるという、前向きで健康的な姿勢を示しているのではないでしょうか

悲しみを拒否したり、美化したりするのではなく、日々の暮らしの中で自然に向き合っていくようなリアルさが感じられます。

そして「貴方はきっと強さも持ってる」という言葉になると、主語が「私」から「貴方」に変わります。自分が悲しみを乗り越えてきた経験を通して、今度は誰かの中にある「強さ」を見つけられるようになっているということかもしれません

 

続く2番A’メロの歌詞。

「生きていけない」
無気力な私を「無価値」だと思っても
立ち止まってみれば
風をまた感じられるから

「『生きていけない』」や「『無価値』」という言葉に引用符が付いているのには、意味がありそうです。この引用符は、その言葉と自分自身との間に、ちょっとした距離をつくる働きをしているのではないでしょうか。つまり、「これは私そのものではない」と、自分に貼られたレッテルをはがすような効果があるように感じました。

この言葉を自分で感じているのか、それとも誰かに言われたのかははっきりしません。しかしどちらにしても、「それは”言葉”であり、自分の本当の姿ではない」と、自分と切り離して見つめようとしているのだと思います

そして場面が切り替わるきっかけが「立ち止まってみれば」という一言です。最近の自己啓発では「前へ進め」「走り続けろ」と言われがちですが、ここでは逆に、「一度立ち止まる」ことが回復のきっかけとして描かれています

立ち止まると、「風をまた感じられる」。この「風」は、自分が何もしなくても外の世界から届くもの。努力しなくても自然にふれてくる、やさしい刺激です。

大森くんは「風=呼吸」というメタファーを使いながら、「生きていけない」という気持ちから「生きてる」という実感へと、無理のない、やさしい橋をかけてくれているのだと思います

 

2番Bメロの歌詞。

気持ちは周る
螺旋階段のように
鳥が羽ばたく様には行かずとも
時代は変わっていく

「気持ちは周る/螺旋階段のように」という表現には、感情や成長の動きがただの繰り返しではなく、少しずつ上へと進んでいくものだという意味が込められていそうです

螺旋階段は同じ場所を何度も通るように見えますが、実際には少しずつ高くなっています。だからこそ、もしまた同じ失敗をしたと思っても、それは前とまったく同じではなく、少し違う位置、違う高さにいるのです。

「鳥が羽ばたく様には行かずとも」は、理想のように自由に空を飛べない自分のことを言っていますが、それを責めるのではなく、「それでも少しずつ階段をのぼっている自分」をしっかり認めようとしています。夢のように一気に高く飛べなくても、地に足をつけて前に進むことにも価値がある、というメッセージ

そして「時代は変わっていく」という言葉は、自分の努力とは関係なく、外の世界や時間が進んでいくことを示しているのだと思います。これは、「自分だけでどうにかしなければならない」と思い詰めず、世界の流れに助けられることもある、という視点ではないでしょうか

つまりこの曲では、「自分のペースで階段を上ること」と「時代や環境の変化に助けられること」の両方が描かれていて、聴く人を優しく包み込むような姿勢が貫かれているのだと感じます

 

2番サビ前半部分の歌詞。

幼さでパンを作って
大人びてジャムを塗ろう
いつかまた机を囲んで
懐かしい話をしよう

「幼さでパンを作って/大人びてジャムを塗ろう」という表現は、子どもっぽさ(幼さ)をただの未熟さとせず、大切な土台作りとして捉え直しているのではないでしょうか。

パンは、生地をこねて焼くという手間のかかる工程を経てできあがるもので、ここでは「基礎」や「素の自分」を意味しているような気がしますそのパンの上に、ジャムという”彩り”や”甘み”を加えるのが「大人びた」行為。つまり、経験や知恵を身につけて、より豊かな自分を作っていくという意味だと思います。

ここには、「未熟さと成熟はどちらか一方ではなく、一緒にあっていい」というメッセージが込められているのかもしれません。子どもっぽい部分も、大人のような部分も、どちらも自分を形作る大切な要素であり、それらが一緒にあることが自然で美しい。そんな両立の考え方が表れているのではないでしょうか。

そして「机を囲んで」という一言からは、家族や友達、仲間たちと、上下関係なく、みんなで同じ目線で語り合う温かい雰囲気を感じます。

映画の中のワンシーンを知らなくても、誰にとっても心の中にある「机を囲む光景」は、安心できる思い出としてよみがえってきます。この懐かしさは、過去に戻りたいという気持ちではなく、「あのときのぬくもりを胸に、これからも進んでいこう」と思わせてくれる、やさしい明かりのようなものではないでしょうか

 

2番サビ後半の歌詞。

左胸の鼓動が止まるまで
ちゃんとこの世界を愛したい
両の腕で誰かが抱きしめてくれるまで
今日も生きてる

まず「左胸の鼓動が止まるまで/ちゃんとこの世界を愛したい」というフレーズの「ちゃんと」という言葉に注目したいです。ただ「愛したい」と言うのではなく、「ちゃんと」とつけることで、いいかげんではなく、責任を持って、丁寧に愛そうとする意志が伝わってきます。この「ちゃんと」には、相手や世界に対して誠実であろうとする気持ちが込められているのだと思います

また、ここで愛する対象が「君」から「世界」へと広がっているのもポイントではないでしょうか。個人的な恋愛感情から、もっと広い、社会や人生そのものへの思いへと変化しており、これは感情が倫理へと昇華していく瞬間でもあります。

続く「両の腕で誰かが抱きしめてくれるまで」では、以前の1番サビでは「自分が誰かに触れていた」立場だったのに対して、ここでは「自分が誰かに抱きしめられる」立場になっています。つまり、愛を”与える”だけでなく、”受け取る”側の視点も大切にしているということではないでしょうか

多くの人は傷ついた経験から、愛を受け取ることに不安や怖さを抱いてしまいがちです。しかしここでは、「誰かに抱かれる」という経験を通して、生きている実感が得られるということが描かれているのだと感じました

そして、再び「今日も生きてる」というフレーズが置かれることで、「愛すること」「愛されること」両方を含んだ”生”が、もう一度しっかりと確認されます。この一連の流れで、愛の循環=生きる証を静かに、しかし力強く描き直しているのかもしれません。

 

そしてCメロの歌詞。

無くしたものを探す
道が廃れていようとも
誰かを失うのも人生の一部と
呼ばなきゃいけないなら
どうか

「無くしたものを探す/道が廃れていようとも」というフレーズでは、失ったものはもう完全には戻らないという現実と、それでもあきらめずに探そうとする姿が描かれます。「道が廃れている」という表現からは、時間が経ち、もう誰も通らなくなったような荒れた風景が浮かびます。それでも歩き続けるのは、心の中に強い想いがあるからかもしれません。

そのあとに続く「誰かを失うのも人生の一部と/呼ばなきゃいけないなら」という言葉は、どうしても受け入れがたい現実に、無理にでも名前をつけなければならない、そんな苦しい気持ちをあらわしている。ここで使われる「呼ぶ」という動詞は、ただ言葉を使うというより、「この現実をどうにか理解し、抱えようとする勇気」を意味していそうです

そして最後に「どうか」で一句が終わっているのが、とても印象的です。この「どうか」は、願いの始まりのような言葉ですが、その先が書かれていません。だからこそ、聴く人それぞれが自分の祈りや願いをそこに重ねることができるのです。

作り手が答えや結論をすべて決めてしまうのではなく、「余白」を残しておくことで、聴く人が自分の経験や気持ちを自然に重ねられる。これが、大森くんの歌詞が多くの人に寄り添う理由のひとつなのだと思います

 

そしてラスサビ前半の歌詞。

左胸の鼓動を感じてる
右の脳で明日を夢見てる
小さな掌の中で
私は夢を握ってる

「右の脳で明日を夢見てる」という言葉では、それまで愛の相手として登場していた「君」が、いつの間にか「明日」、つまり未来のイメージへと姿を変えています。右脳は、感覚やイメージをつかさどる場所。なので「右の脳で夢を見る」という表現は、「未来の姿を頭の中に思い描いている」ということを、感覚的に伝えているということです

そして続く「小さな掌の中で/私は夢を握ってる」では、夢という目に見えないものを、「握る」という実際の体の動きと結びつけることで、よりリアルに感じさせてくれます。ここで注目すべきは「小さな」という言葉。夢というと大きくて壮大なものを想像しがちですが、ここでは「小さな夢」が大切にされています

夢が小さいからこそ、自分の手のひらでちゃんと持てる。つまり、それは実現可能なものであり、自分の生活とつながっている夢なのではないでしょうか。また、「握る」という動作は、強く握れば壊れてしまうかもしれないし、やさしく包みこむこともできます。その「加減」も含めて、夢との向き合い方が丁寧に描かれているのだと感じました。

この表現からは、「大きな夢じゃなくてもいい。今の自分にちょうどいい夢を、大切に持っていればいい」という、やさしくて現実的なまなざしが感じられます

 

ラスサビ後半の歌詞。

幼さでパンを作って
大人びてジャムを塗ろう
いつかきっと出逢う
貴方を探してる

「幼さでパンを作って/大人びてジャムを塗ろう」というフレーズがもう一度登場したあと、今度は「いつかきっと出逢う/貴方を探してる」へとつながっていきます。ここで初めて、「出逢う貴方」が未来の存在として描かれ、動詞は「探してる」と現在進行形になっています

「探してる」という形には、「まだ見つかっていないけれど、今もずっと探している」という、結果よりも行動を続けていることに価値を置く考え方が込められていそうです。つまり、「出逢い」とは奇跡のような一瞬ではなく、「ずっと探し続けること」の中にこそ意味がある、という見方ではないでしょうか

この「探す」という姿勢は、1番Aメロに登場した「足跡」ともつながっているのだと思います。足跡は、自分が歩いてきた証として残りますが、それは同時に、誰かにとっての道しるべにもなるということ。つまり、「探している自分の存在」もまた、誰かにとっての導きになる可能性があるのです。

 

最後はアウトロの歌詞。

Hi – 時の行方に任せて
Smile – 不安も味方にしてさ
ターコイズの光の奇跡を纏って
「強く誓う愛みたい」

「Hi – 時の行方に任せて」というフレーズは、以前の「Bye – 時の流れに任せて」と対になっています。「Bye」が別れのあいさつだったのに対して、「Hi」は再会や新たなスタートのあいさつ時間が過ぎて何かを終えたあと、また新しく始める気持ちが表れているのだと思います

ここでの「任せて」という言葉も重要ではないでしょうか。これはただ「流される」ということではなく、「今は自分で全部コントロールできなくても、時間の流れに身を委ねてみよう」という、大人の余裕や受け入れの姿勢がにじんでいます

続く「Smile – 不安も味方にしてさ」では、「不安をなくそう」とするのではなく、「不安を味方にする」という発想がとても新鮮です。人生から不安が完全になくなることはありません。だからこそ、それを敵と見なすのではなく、自分の考えを深めたり、準備を整えたりする作戦参謀のように活用しよう、という前向きな姿勢が感じられます

「ターコイズの光の奇跡を纏って」という表現では、「ターコイズ(青緑色)」という色名をそのまま使うことで、情景がはっきりとイメージできるようになっています。ターコイズは空と海の中間のような色で、「境界を越えるもの」「旅の守り」といった象徴もあります。これにより、曲の季節感は”9月の花の色”から”新たな旅の始まり”へと自然に移っていくのです。

そして最後の「『強く誓う愛みたい』」というフレーズでは、「誓う」と言い切るのではなく、「みたい」とややぼかした表現にすることで、押しつけがましさや硬さを避けています。さらに、引用符でくくることで、その言葉を少し距離をおいて見つめる姿勢もあります。それでもその言葉にすがるような思いも伝わってきて、これは「控えめだけど芯のある強さ」を象徴する表現のように感じました

 

アウトロ後半の歌詞。

壊れそうな場合
私の肩に寄りかかってさ
お互い甘えてみましょう
さぁ 次は何処へ行こうか

ここに記す
貴方へ

「壊れそうな場合/私の肩に寄りかかってさ」という言葉には、一方的な助けではない、やわらかな寄り添いの気持ちが込められていそうです。ここでは誰かを一方的に支えるのではなく、「お互い甘えてみましょう」と提案することで、”弱さを見せること=悪いこと”というイメージをくつがえし、やさしく頼り合う関係として描き直しています

ケアという行為は、時に「する側」と「される側」に分かれてしまいがちですが、ここではその非対称さがとても自然に和らげられています。「助ける・助けられる」の関係ではなく、「一緒に少しずつ支え合う」というバランスが伝わってきました。

続く「さぁ 次は何処へ行こうか」は、あえて行き先をはっきりさせないことで、未来の選択肢を広げる言葉になっています。具体的な場所を示さないこのオープンな表現によって、「どこに行くか」よりも「誰と進むか」のほうが大切である、という余白を意図的に生んでいるのかもしれません

その直後の「ここに記す/貴方へ」で、物語は「手紙」という形式に戻ってきます。歌のタイトルである「Dear」と、この「貴方へ」の言葉が、歌詞全体を封筒の上下のフチのように包みこみ、物語をしっかりと閉じます

つまりこの歌詞は、ある特定の誰かだけに向けたものではなく、聞く人それぞれが「宛名」を自由に書き込める、”開かれた手紙”として届けられているのではないでしょうか。それこそが、大森くんの曲が多くの人に響く大きな理由の一つなのだと思います。

 

 

ぜひ歌詞の意味にも注目しながら、この曲『Dear』を聴いてみて下さい!

 

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