Mrs. GREEN APPLE(ミセス)『アウフヘーベン』の歌詞とその意味&魅力について解説していきます。
3rdアルバム『ENSEMBLE』の4曲目に収録された一曲。
この曲は、作詞作曲を手掛けたボーカルの大森が高校2年生の冬に書いた楽曲です。
不条理や生きづらさを感じるこの世界で人はどう生きていくのか。
世の中を冷笑的に眺め、”ここ”で生きることに対しての問題提起がなされていきます。
Mrs. GREEN APPLE(ミセス)公式Instagramの投稿から。
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後半ではこの楽曲の意味などについて詳しく書いているので、是非最後まで目を通してみてください!
それでは早速『アウフヘーベン』の歌詞紹介から書いていきます。
あくまで筆者自身が解釈したものになるので、一つの参考として受け取っていただけると幸いです。
動画解説:『アウフヘーベン』歌詞考察してみた
このブログの内容は下記の動画でも解説中!
Mrs. GREEN APPLE『アウフヘーベン』歌詞
歌手:Mrs. GREEN APPLE
作詞:大森元貴
作曲:大森元貴
収録:3rdアルバム『ENSEMBLE』
発売日:2018年4月18日(水)
フリコに踊らされた街
いつ滅んでもいいと想う
中身ヘリウムガス風船
飛んで飛んで弾けていった
「まだ生きたりないな」
「もう死にたいな」
「もう嫌だ逃げていたいな」
「あそこが羨ましいな」
ならもう
間を取ってみましょうか
そうはいかないな
なんだっていいんだって。直に嵐は過ぎる
安牌な回答で直に虹が架かる
大丈夫 心配無いよ。大勢が傷つくだけ
なんてことはないよ
直に朝日が差す、人を朝日が刺す
ゆらりゆらり揺られている
私はどちらに流れればいい?
離陸に手こずって
ドン臭いのがバレちゃうよ
「ああどれが私の音だ」
「ああこれが僕の音だ」
「もう嫌だ逃げていたいな」
「あそこが羨ましいな」
ならもう
間を取ってみましょうか
そうはいかないな
なんだっていいんだっけ?ほら嵐がまた来る
安牌な回答で次に雨を降らす
大丈夫 心配無いよ。大勢が傷つくだけ
なんてことないよ、直に夜は明ける
歪んだ世界とはさ
修復はもう無理なのか
綺麗な世界とはさ
創るのはもう無理なのか
君との未来があるけれど
僕たちの住む世界は
「歪んでいて綺麗なもの」でした
なんだっていいんだって。直に嵐は過ぎる
安牌な回答で直に虹が架かる
大丈夫 心配無いよ。大勢が傷つくだけ
なんてことはないよ、直に朝日が差す
なんだっていいんだっけ?
大丈夫なんだっけ?
『アウフヘーベン』歌詞の意味&魅力
この曲のタイトルとなっている『アウフヘーベン』の意味を簡単に説明すると、“2つの対立する物事の間を取ってより良い高次の答えを導くこと”という意味になります。
ミセスの別楽曲『パブリック』のアンサーソングとしても知られ、愚かさや醜さを抱える人間がこの世界でどう生きていくべきなのか、その答えがここで描かれているようです。
白か黒で答えが出せるほど単純な世界じゃないからこそ、人は悩み苦しむのでしょう。
しかし同時に単純じゃないからこその美しさや面白さもあるのかもしれません。
この曲ではそんな複雑な世界での生き方に対して、厳しい問題提起をしていきます。
公式MVの紹介
こちらがYouTubeに投稿されている『アウフヘーベン』公式MV。
ここからは歌詞解説をしていきます。
1番:歌詞の意味
まずは冒頭Aメロ部分の歌詞から。
フリコに踊らされた街
いつ滅んでもいいと想う
中身ヘリウムガス風船
飛んで飛んで弾けていった
“振り子に踊らされた街”と”中身ヘリウムガス風船”というのは、現代の社会について皮肉を交えて表現した言葉になります。
メディアや大衆の意見に踊らされ惑わされ、自分の意見を失ってしまった人たち。
風船の様に中身が空っぽな彼らが作り上げるこの世界に価値はなく、”滅んでも良いと想う”という厳しい言葉で批判をしています。
そんな世界に未来も希望も無いのでしょう。
続く1番Bメロ部分の歌詞。
「まだ生きたりないな」
「もう死にたいな」
「もう嫌だ逃げていたいな」
「あそこが羨ましいな」
ならもう
間を取ってみましょうか
そうはいかないな
この世界に生きる人たちの嘆きや叫び。
生きたりないと言う人がいれば、もう死にたいと言う人がいる。
嫌で嫌で逃げてしまいたい人もいれば、あそこが羨ましいと言う人がいる。
白か黒かでハッキリと正解が出せないこの世界では、矛盾するような出来事が当たり前のように起こるのでしょう。
そうであればいっそのこと間を取ってみようと試みるのですが、意外にもそんな単純な話でもなさそうだと気づいてしまいます。
だから人は、いつも苦しみもがいているのです。
そして1番サビの歌詞がこちら。
なんだっていいんだって。直に嵐は過ぎる
安牌な回答で直に虹が架かる
大丈夫 心配無いよ。大勢が傷つくだけ
なんてことはないよ
直に朝日が差す、人を朝日が刺す
2つの相反する選択肢が登場したときに、なんだっていいやと投げやりになる人たち。
そんな安牌な回答に逃げる人たちは、一瞬虹が架かったように心が晴れやかになるのだが、時間が立てばそのボロが明るみに出ることになります。
朝日が世界を照らすと同時に、嵐が再来するのです。
そしてここで登場する”大丈夫”という言葉は、皮肉がたっぷり込められた言葉になります。
大丈夫、あなたのその選択で大勢が傷つくんだよと。
全然大丈夫ではないのです。
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2番:歌詞の意味
2番Aメロの歌詞から。
ゆらりゆらり揺られている
私はどちらに流れればいい?
離陸に手こずって
ドン臭いのがバレちゃうよ
ゆらゆらと揺られているのは、私たち人間一人一人の意見そのもの。
誰の意見に乗っかろうかどこに付いていこうかと、この世界の住人は周りの人たちの出方を伺ってばかりなんだということ。
誰も自分の確固たる意見を持っていないのでしょう。
そんな人たちに対しての問題提起がなされています。
続く2番Bメロの歌詞。
「ああどれが私の音だ」
「ああこれが僕の音だ」
「もう嫌だ逃げていたいな」
「あそこが羨ましいな」
ならもう
間を取ってみましょうか
そうはいかないな
本当の自分はどこにいるのか。
どれが僕の意見なのか。
この生きづらい世界が嫌で嫌で逃げてしまいたいと感じる自分もいれば、あそこが羨ましいなと近付いていきたくなるときもある。
白か黒かハッキリ答えを出すことが出来ない難しい問題を前にして、いつも辿り着く先はその間の選択肢がほしいという願望なのでしょう。
つまり”グレー”を選択したくなるのです。
そして2番サビの歌詞がこちら。
なんだっていいんだっけ?ほら嵐がまた来る
安牌な回答で次に雨を降らす
大丈夫 心配無いよ。大勢が傷つくだけ
なんてことないよ、直に夜は明ける
1番サビの歌詞で見事に失敗した主人公。
その経験を踏まえ、”なんだっていいや”と投げやりだった自分自身の行動を見直します。
しかしそうやって導き出した妥協策は、結局安牌な回答になってしまうのです。
そしてその安牌な選択肢はまた嵐を呼び寄せる。
どんな答えを導き出しても、結局誰かが傷ついてしまいます。
そんな八方塞がりの状況に苦しみもがくのです。
Cメロの歌詞が続きます。
歪んだ世界とはさ
修復はもう無理なのか
綺麗な世界とはさ
創るのはもう無理なのか
君との未来があるけれど
僕たちの住む世界は
「歪んでいて綺麗なもの」でした
誰かが助かれば誰かが傷ついてしまうようなこの歪んだ世界。
そんな世界に迷い込んでしまったが最後、そこから抜け出す方法はないのだろうか?
誰もが笑顔になれるような綺麗な世界を創ることは不可能なのだろうか?
正しそうな答えを選ぼうとしている限りは、いつまでも歪んだ世界からは抜け出すことが出来ないのでしょう。
きっと歪んだ世界から完全に抜け出す術などそもそも無く、日々選択を迫られるこの世界では、自分の頭で考え続けることこそがせめてもの答えなのです。
そしてラスサビの歌詞がこちら。
なんだっていいんだって。直に嵐は過ぎる
安牌な回答で直に虹が架かる
大丈夫 心配無いよ。大勢が傷つくだけ
なんてことはないよ、直に朝日が差す
なんだっていいんだっけ?
大丈夫なんだっけ?
結局みんながハッピーになれるような答えを導くことは出来なかったのです。
この世界に絶対的に正しい答えなどない。
歪んだ世界と綺麗な世界の間で揺らぎながら、常に人は生きていくのでしょう。
しかしそれこそが人間らしさであり、その葛藤の中にこそ人間という生き物の美しさが隠れているのかもしれません。
ぜひ歌詞の意味を味わいながら、この曲『アウフヘーベン』を聴いてみて下さい!
大森元貴が描く深い人間哲学に触れることができるはずです。
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