Official髭男dism(ヒゲダン)『Anarchy(アナーキー)』の歌詞とその意味&魅力について解説していきます。
この曲は、6th配信シングル『Anarchy』としてリリースされた楽曲。
映画『コンフィデンスマンJP -英雄編-』の主題歌として書き下ろされました。
ヒゲダンは2018年放送のドラマ版『コンフィデンスマンJP』から、今作を含む映画版『コンフィデンスマンJP』3本全ての主題歌を担当しています。
今回の『Anarchy』もこれまでの作品と同様に、映画の世界観を投影した楽曲になっているようです。
Official髭男dism(ヒゲダン)公式Instagramの投稿から。
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後半ではこの楽曲の意味などについて詳しく書いているので、是非最後まで目を通してみてください!
それでは早速『Anarchy』の歌詞紹介から書いていきます。
あくまで筆者自身が解釈したものになるので、一つの参考として受け取っていただけると幸いです。
動画解説:『Anarchy』歌詞考察してみた
このブログの内容は下記の動画でも解説中!
Official髭男dism『Anarchy』歌詞
歌手:Official髭男dism
作詞:藤原聡
作曲:藤原聡
収録:6th配信シングル『Anarchy』
発売日:2022年1月7日(金)
耳障りな演説が 頭の中で響いてる
がなるスピーカー垂れ流した
自己嫌悪と葛藤のリピート
「あの頃に戻りたいな」それ以外に何かないのか?
不平不満は時限爆弾
秒読みを止める名言など持っちゃいない
抜け出せ 悪循環の根強い重力を
鍵付きの部屋の中で下品なポーズ
どうかしてる どうかしてる
浮き足立った心が煙を上げる
リーダーも英雄も信じるまいと怒れる暴徒の眼光
感情の大乱闘 治安の悪さと猿の徹夜は続く
どうかしてる 度を超してる 解りますか?
何の価値もない夜更け
非の打ち所ひとつない 人生なんて歩んじゃない
不謹慎な言葉を日夜 きつめのネクタイで抑えたヴィラン
躾のない自由はない 秩序の加護に飼われて
誇りを持った清き偽善者
傷つけたくないけど何かを噛んでいたい
抜け出せ この集団の根強い重力を
捨てられない粗大なイライラが爆ぜる
何にもない誰も居ない
じゃなきゃ怒れない
笑わないで 指を差さないで
理性の半分ない間しか狂えない
笑わないで 指を差さないで
隠し通していたい
どうかしてる どうかしてる
浮き足立った心が煙を上げる
リーダーも英雄も信じるまいと怒れる暴徒の眼光
感情の大乱闘 治安の悪さと猿の徹夜は続く
どうかしてる 度を超してる 解りますか?
何の価値もない夜更け
『Anarchy』歌詞の意味&魅力
この曲のタイトル『Anarchy』は”アナーキー”と読み、和訳すると”無秩序”とか”無政府状態による混乱”という意味になります。
Gt.の小笹さんはTwitterでこの曲について「ノワールでピカレスクな感じの髭男です。」と表現していました。
馬鹿みたいに長風呂してたらAnarchy配信スタートしてた????♂️
ノワールでピカレスクな感じの髭男です。よろしくどうぞ????#Anarchy #コンフィデンスマンJP #英雄編 https://t.co/sTNJaWUOz1— 大輔 Official髭男dism (@daisuke_higedan) January 6, 2022
“ノワール”とはフランス語で、和訳すると”黒”とか”暗黒”という意味の言葉であり、”ピカレスク”とは”悪者”とか”悪党”などといった意味を持つ言葉になります。
“ピカレスク小説”という言葉がよく使われますが、これは”悪党が主人公として活躍する小説”のこと指しているのです。
これまでに紹介した”Anarchy”や”ノワール”、”ピカレスク”といった言葉を踏まえるとこの曲は、”悪党として生きる主人公の生き様と葛藤”が歌われているような気がします。
公式MVの紹介
YouTubeに公開されている公式MVがこちら。
ここからは歌詞解説をしていきます。
1番:歌詞の意味
まずは冒頭Aメロ部分の歌詞から。
耳障りな演説が 頭の中で響いてる
がなるスピーカー垂れ流した
自己嫌悪と葛藤のリピート
「あの頃に戻りたいな」それ以外に何かないのか?
不平不満は時限爆弾
秒読みを止める名言など持っちゃいない
ここで歌われる<がなる>とは、”大声でどなる、わめく”という意味を持つ言葉であり、まさにそれはスピーカーから流れていた<耳障りな演説>のことになります。
どこかで聞いたその演説のせいで、今の主人公は自己嫌悪にうなされているようなのです。
<あの頃に戻りたいな>という歌詞からも分かるように、その演説をきっかけに主人公の人生は180度変わってしまったのかもしれません。
アナーキー(無秩序)な社会の中で、おそらく主人公は悪党と化したのだと思います。
その結果、主人公なりの正義を貫いたはずなのに、今の自分の生き方に葛藤を抱えてしまうことになるのです。
しかし現状の自分にどれだけ不平不満を言おうと、潔白な頃の自分に戻ることはできません。むしろその不満が自分を更に苦しめることになるのです。
悪事に手を染めてしまったが最後、いつも心の支えになっていた誰かの名言でさえも、苦しみから自分を救ってくれなくなるということを教えてくれているのかもしれません。
続く1番Bメロの歌詞。
抜け出せ 悪循環の根強い重力を
鍵付きの部屋の中で下品なポーズ
<抜け出せ>とは、主人公が自分自身に言い聞かせている言葉であり、その後に続く<悪循環の根強い重力>というのが、今自分が置かれている状況のことを表した言葉のように感じられます。
これらの言葉からは、1度悪事に手を染めてしまった主人公も、本当は早く足を洗って真っ当に生きていきたいと願っていることがヒシヒシと伝わってくるのですが、そう簡単にはいかないのです。
そして<鍵付きの部屋の中で下品なポーズ>という言葉は、表向きはいい人ぶっている自分が、実は悪事を働いているという主人公の状況を表しているのだと思います。
どんなに心の内ではやましいことを考えていても、それは誰にも気づかれない心の奥底に秘められているものであり、そんな事実が自分自身を更に苦しめるのです。
そして1番サビの歌詞がこちら。
どうかしてる どうかしてる
浮き足立った心が煙を上げる
リーダーも英雄も信じるまいと怒れる暴徒の眼光
感情の大乱闘 治安の悪さと猿の徹夜は続く
どうかしてる 度を超してる 解りますか?
何の価値もない夜更け
このパートでは、主人公の心の状況が比喩的に表現されているような気がします。
<浮き足立った心>や<感情の大乱闘>とは、どちらもこれまで何度も描かれてきた主人公自身の心の葛藤のこと。
悪事から足を洗いたい主人公と、今日もまたアンチヒーローとして生きなければならない現実が真っ向からぶつかり合っているのです。
そしてその後に続く<猿>や<徹夜(夜)>と言う言葉は、どちらも直前の<治安の悪さ>を象徴するような言葉に感じられます。
そんな無法地帯(アナーキー)のように思えるグチャグチャとした心情が、主人公の中で永遠と渦巻いているのではないでしょうか。
自分でも訳が分からなくなるようなその感情は、客観的に見たときに”どうかしてる”としか言いようが無いのかもしれません。
そんな葛藤を続けている間は何も進展することはなく、毎日毎日同じように苦しい日々が続いていくだけなのですが、かと言ってそこから抜け出す方法も全く分からず、主人公は途方に暮れているのです。
2番:歌詞の意味
冒頭Aメロ部分の歌詞から。
非の打ち所ひとつない 人生なんて歩んじゃない
不謹慎な言葉を日夜 きつめのネクタイで抑えたヴィラン
躾のない自由はない 秩序の加護に飼われて
誇りを持った清き偽善者
傷つけたくないけど何かを噛んでいたい
悪事を働く自分自身を、どうにか正当化しようともがき苦しむ主人公の姿が描かれます。
ここで歌われる<ヴィラン>とは、和訳すると”悪者を演じる役者”という意味を持つ言葉。
この<ヴィラン>と<誇りを持った清き偽善者>という言葉は、どちらも主人公のことを表した言葉として捉えられそうです。
主人公はただ私欲のために動く悪党ではなく、正義の為に戦わんとする悪党なのですが、もちろん完全なる正義のヒーローでもありません。
正義のために悪党になることを選んだ主人公もまた、明らかに悪党なのです。
そんな事実を受け止め、正義と悪を行ったり来たりしながらこの世界を生き抜いているのですが、それは並大抵の人間ができることではなく、常に計り知れない葛藤の中をさまよっているのだと思います。
ラスト1行の<傷つけたくないけど何かを噛んでいたい>という言葉も、そんな主人公の様子を絶妙に言い表しています。
何かを傷つけることを連想させるような”噛む”という行為と、”傷つけたくない”という意思が心の中で常にぶつかり合っているのです。
続く2番Bメロの歌詞。
抜け出せ この集団の根強い重力を
捨てられない粗大なイライラが爆ぜる
ここでも1番Bメロの歌詞と同様に、悪事から足を洗いたくても抜け出すことができない主人公の苦しみが描かれます。
どうにもこうにもいかない自分の状況に苛立ちを隠せないのですが、この感情を誰にも吐き出すことはできないのです。
嘘偽りの自分のことは、自分だけの秘密として墓場まで持っていかなければなりません。
その事実がまた主人公を苦しめるのです。
そして落ちサビの歌詞が続きます。
何にもない誰も居ない
じゃなきゃ怒れない
笑わないで 指を差さないで
理性の半分ない間しか狂えない
笑わないで 指を差さないで
隠し通していたい
このパートからは悪事を働く者の孤独さがヒシヒシと伝わってきます。
たとえそれが悪者を裁くための悪事だったとしても、結局は心の内の後ろめたさを消し去ることは不可能なのです。
「本当の自分はこんな人間じゃない」
そう叫ばせてほしいと願う主人公の姿がこれでもかというほどに感じられます。
せめて、狂った自分の姿を誰にもバラすことなく隠し通して生きていきたい。
それだけを心に言い聞かせて、主人公は今日もまたアンチヒーローとして生きるのです。
(ラスサビは1番サビの歌詞と同様になるので割愛します。)
ぜひ歌詞の意味に注目しながら、この曲『Anarchy』を聴いてみて下さい!
悪者を裁く悪者の心の内には、複雑な感情が渦巻いていたのです。
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