Mrs. GREEN APPLE(ミセス)『フロリジナル』の歌詞とその意味について考察していきます。
「嗅ぐ」ことで記憶がよみがえる。決まり文句よりもぬくもりを選び、不完全なものを信じることを選ぶ主人公。
この曲『フロリジナル』は、香りを通して愛の形を見つめ直す、静かな決意の歌です。
本記事では、歌詞に込められたメッセージをフレーズごとに丁寧に読み解き、楽曲全体を通じて伝わる深い意味を探っていくので、ぜひ最後までご覧ください!
あくまで筆者自身が解釈したものになるので、一つの参考として受け取っていただけると幸いです。
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Mrs. GREEN APPLE『フロリジナル』歌詞
歌手:Mrs. GREEN APPLE
作詞:大森元貴
作曲:大森元貴
収録:10thシングル『Soranji』
発売日:2022年11月9日(水)
緑が深いこの森を抜け
その先の町へ行こう
ケガは結構してしまっているけど
譲れないものはたくさんあるから
引き返せやしない
ひとりがこわいのはみんな一緒
どっからか香る救いの
共通項を探してみるの
誰かの為に明日が来るなら
そいつが嫌い
広い世界だし
私のこの悩みは
ちっぽけだと信じてる
「愛してる」
なんかもう要らないよ
今だけただ抱きしめて欲しい
私は嗅ぐ
完璧な思いはこの世に無いと
貴方を嗅ぐ
大切な人に大切にされたい
誰かに「ここに居ていいよ」って
時間じゃない次元へ行きたい
追われる側になれない僕らは
欲しがりすぎてる
ずっとコドクでも
いつの日か今までの全部
報われると良いんだけど
頭ではわかってる
寂しさの正体
でも今日もまた
信じてる
「愛してる?」
なんてもう聞かないよ
どうせ居なくなるなら触れないで
私は嗅ぐ
ただ断片に。
思い出を美しくしていたいから
空を嗅ぐ
目で見てみないと
冒険しないと
ワクワクが腐るから
外へ出たい
壮大な景色を
想像してる今日も
消えちゃいたい夜も
私の導火線
「愛してる」
ならもう聞かないよ
この先もずっと抱きしめていて欲しい
私は往く また感じた方へ
ただただ信じて そばに居て欲しかった
「あぁ 生きてる」
なんてそう思えやしないよ
今だけ香りに包まって
私は知る
完璧な思いはこの世に無いと
私を嗅ぐ
独りじゃないと
私を嗅ぐ
『フロリジナル』歌詞の意味&楽曲背景
この曲『フロリジナル』は、香りと記憶を手がかりに、言葉だけでは癒せない心の痛みと、そっと寄り添うような救いを描いたミドルテンポの曲です。
「嗅ぐ」というリアルな表現を使って、”今ここにあるぬくもり”を感じ取り、「愛してる」のような決まり文句ではなく、相手をしっかりと抱きしめることを選ぶ主人公の姿が描かれます。
完璧ではない気持ちを抱えながらも前に進もうとする決意が、孤独な気持ちをやさしく包み込み、自分を受け入れる力へとつながっていく。そんな大森くんの感覚に響く歌詞の世界が、鮮やかに広がる一曲です。
公式MVの紹介
YouTubeにて公開されている公式MVがこちら。
ここからはフレーズごとに歌詞考察をしていきます。
1番:歌詞の意味
1番Aメロの歌詞。
緑が深いこの森を抜け
その先の町へ行こう
ケガは結構してしまっているけど
譲れないものはたくさんあるから
引き返せやしない
冒頭の「緑が深い森」と「その先の町」という導入は、心の中(森)から社会(町)へと進んでいく、比喩的なロードムービーのような表現だと思いました。
緑豊かな森は安心できる場所であると同時に、迷いやすい場所でもあります。そこを「ケガ」をしながらも抜け出すのは、「逃げずに向き合う」という強い意思のあらわれではないでしょうか。
「譲れないものはたくさんある」から「引き返せやしない」へと進む流れは、理屈で考えた結果というより、体が先に動いて決めているような感覚だと思います。また、頭で考えるよりも、体で感じることを優先する姿勢は、後に出てくる「嗅ぐ」という動詞の重要性を先取りしています。
また、「森から町へ」と向かう動きは、単に物理的な距離が近づくというより、人との関係が広がっていくことを意味しているのかもしれません。そして、途中で負った「ケガ」は、その関係性を築くための代償とも読めます。傷つきながらも進んでいくこの動きが、物語全体の「受け身から能動へ」という方向性を最初に示し、聴く人に”もう後戻りはできない時間”を実感させているのではないでしょうか。
大森くんの描くAメロは、風景の描写は淡く控えめでありながら、動詞の選び方がとても鋭いのが魅力です。「抜け」「行こう」「引き返せやしない」といった方向を示す言葉が続くことで、曲全体のコンパスがブレずに進む方向を指し続けています。こうして生まれた推進力が、そのままサビで描かれる”体温を求める気持ち”へと自然につながっていくのです。
続く1番Bメロの歌詞。
ひとりがこわいのはみんな一緒
どっからか香る救いの
共通項を探してみるの
誰かの為に明日が来るなら
そいつが嫌い
広い世界だし
私のこの悩みは
ちっぽけだと信じてる
「ひとりがこわいのはみんな一緒」というフレーズは、とても巧みな導入だなと感じます。これは、「誰でも弱さを持っている」という共通点を最初に確認することで、聞き手がすっと感情移入できるようにする狙いがあるのではないでしょうか。ただの”強がり”ではなく、弱さを認め合うことから語り始めるからこそ、主人公の言葉に信頼が持てるようになるのだと思います。
続く「どっからか香る救い」という表現も印象的です。ここでは”救い”が、理屈や主張ではなく、ふと漂ってくる「匂い」として描かれています。救いとは、誰かに言い聞かせられるものではなく、もっと無意識のうちに感じるものということ。たとえば、鼻から脳へ静かに伝わってくるような、言葉になる前の「気配」のようなものとして、この曲では伝えています。
一方で「誰かの為に明日が来るなら/そいつが嫌い」というフレーズは、「人のために頑張るのが正しい」という考えに対する違和感を、はっきりと言葉にしています。ここには、自分を後回しにして”いい人”になろうとすることへの恐れ、つまり、自分自身を見失ってしまうことへの直感的な抵抗が込められているように感じました。
だからこそ、「広い世界だし」「悩みはちっぽけだと信じてる」というような相対化の言葉が必要になるのではないでしょうか。この”信じてる”は、客観的な事実というより、自分を守るためにあえて選ぶ「信じ方」だと言えそうです。世界の大きさに身をゆだねながらも、自分という存在を見失わない。そのバランス感覚があるからこそ、サビで語られる「言葉より抱擁」という選択に、自然な説得力が生まれるのではないでしょうか。
そして1番サビの歌詞。
「愛してる」
なんかもう要らないよ
今だけただ抱きしめて欲しい
私は嗅ぐ
完璧な思いはこの世に無いと
貴方を嗅ぐ
「『愛してる』なんかもう要らないよ」というフレーズで否定されているのは、よく使われすぎて空っぽになってしまった言葉。「愛してる」は、本来大切な言葉のはずなのに、何度も使われるうちに重みを失ってしまい、一瞬の不安を安心させる力を持てなくなっている。だからこそ、主人公は「今だけただ抱きしめて欲しい」と願っているのだと思います。
言葉ではなく、体で感じられる”触れる安心”を求めるのです。抱きしめるという行為には、はっきりとした実感があり、言葉のようにすぐ消えてしまうことがありません。
そして、この楽曲の核心にあるのが「私は嗅ぐ」という一文です。嗅覚は、記憶を強く呼び起こす感覚と言われていますが、ここではそれ以上の意味を持っているように思います。主人公にとって嗅覚は、本当かどうかを自分の感覚で見極める「自分だけのセンサー」のようなものなのではないでしょうか。
「完璧な思いはこの世に無い」という考えを、頭で理解するのではなく、匂いとして感じ取る。それは理性を手放すことではなく、人との関係の中にある”不完全さ=欠け”を、匂いとして受け止め、抱きしめ直すということだと思います。そして、そうすることでかえって関係性に深みが生まれるということかもしれません。
最後に出てくる「貴方を嗅ぐ」という言葉には、相手への強い思いがあらわになっているように感じました。その”しつこさ”や”粘り気”には、少し危うさも感じられますが、そこにこそリアルな愛の姿があるのではないでしょうか。
大森くんは、愛を「こういうものだ」と上から定義するのではなく、もっと感覚的で、地に足のついたところから掴み取っていく。そのユニークな視点が、かえって普遍的な愛の本質に迫っているのだと感じます。
さらに、歌詞の中で「貴方」が漢字で書かれている点も見逃せません。これによって、相手に対する敬意や、少し距離を保っているような印象が加わります。すごく近づきたいけれど、完全には混ざり合えない。そんな繊細な距離感が表現されているように感じました。
2番:歌詞の意味
2番Aメロの歌詞。
大切な人に大切にされたい
誰かに「ここに居ていいよ」って
時間じゃない次元へ行きたい
追われる側になれない僕らは
欲しがりすぎてる
冒頭の「大切な人に大切にされたい」「ここに居ていいよ(と言ってほしい)」というフレーズは、誰もが持っている認められたいという気持ちを、ストレートに表現しています。このまっすぐな承認欲求を、恥ずかしがらずにそのまま出す勇気が、まずとても尊いのです。
また「時間じゃない次元へ行きたい」というフレーズは、ただ毎日が流れていくような普通の時間ではなく、特別で濃い一瞬のような時間に飛び込みたい、という願いを表しているのではないでしょうか。つまり、どれだけ長く一緒にいるかではなく、「どれだけ濃くつながれるか」という、時間の密度を重視する関係を求めているのだと感じました。
「追われる側に〜欲しがりすぎてる」というフレーズには、恋愛にありがちな”駆け引き”を理解しながらも、そこから抜け出せない自分たちの未熟さを認める視点があります。ここで注目すべきなのは、一人称が前の部分では「私」だったのが、「僕ら」に変わる点です。これにより、個人的な弱さが、自分だけのものではなく、多くの人が感じていることだという普遍性へと広がっていきます。
さらに、「私」と「僕ら」という人称の切り替えによって、性別や役割にとらわれず、”あなたとわたし”の境界があいまいになります。これは大森くんの歌詞にしばしば見られる特徴で、人と人との距離を、より柔らかく、親密に感じさせる効果があります。
まとめると、2番のAメロでは、「愛されたい」という子どもっぽさを自分でちゃんとわかっていながら、それを恥ずかしいと思わずに受け入れている姿が描かれているのだと感じ取れました。この”弱さの自覚”が、後の「自分自身を受け入れること」への大事なステップになっているのではないでしょうか。
続く2番Bメロの歌詞。
ずっとコドクでも
いつの日か今までの全部
報われると良いんだけど
頭ではわかってる
寂しさの正体
でも今日もまた
信じてる
「ずっとコドクでも」という表現において、「孤独」をカタカナで書くことには特別な意味があるように感じます。漢字の「孤独」は感情の重さや湿っぽさを持っていますが、「コドク」とカタカナにすることで、それを少し抽象的で、冷たい印象に変えているのかもしれません。いったん感情から距離を取ることで、「自分は今、何を感じているのか?」ということを冷静に見つめ直すことができるようにしているのではないでしょうか。
このように温度を下げておくことで、次に出てくる「いつの日か今までの全部/報われると良いんだけど」という、かすかな希望の言葉がより鮮やかに浮かび上がってきます。この祈りは、力強い宣言ではなく、どこか控えめで弱い。それでもその弱さが、とてもリアルで心に響くのです。
また「頭ではわかってる/寂しさの正体」というフレーズも重要だと感じます。孤独の正体を知ってしまうと、知らなかったときよりも、むしろ痛みがはっきりしてしまう。この「理解が痛みを消すどころか、むしろ輪郭を際立たせてしまう」という逆説が、心の中にずっと残ります。
それでも、「今日もまた信じてる」と歌う主人公。この信じる力は、希望というよりも、生きていくために必要な最低限の燃料のようなものなのだと思います。たとえ論理的に無理があっても、祈りのような気持ちと入り混じることで、人はなんとか進み続けられる。このBメロは、そんな「理屈と祈りのせめぎ合い」が最も美しく響くパートではないでしょうか。
そして2番サビの歌詞。
「愛してる?」
なんてもう聞かないよ
どうせ居なくなるなら触れないで
私は嗅ぐ
ただ断片に。
思い出を美しくしていたいから
空を嗅ぐ
「『愛してる?』なんてもう聞かないよ」という言葉には、主人公の変化が表れています。以前は、相手の気持ちを言葉で確認しようとしていたけれど、それをやめようとしています。確かめることで安心できる反面、聞くたびに「本当に?」という不安もどんどん膨らんでしまう。そうした経験から、言葉に頼るのをやめる決意が見えてきます。
一方で、「どうせ居なくなるなら触れないで」という一文には、傷つかないための強い防御反応が現れています。最初から触れなければ、失うこともない。しかしそれは同時に、何かを”手に入れる”こともできないということ。守ることで、何かを諦めてしまっているのです。
ここで再び出てくる「私は嗅ぐ」という言葉には、1番とは少し違った意味が加わっているように感じました。今回は「ただ断片に。」という言葉が続いており、香りは思い出を整理するための道具として使われていると捉えられそうです。すべてを完璧に残そうとするのではなく、自分が選んだ”美しい断片”をつなぎ合わせていく。その姿勢が、「空を嗅ぐ」という、一見不思議な表現につながっていきます。
空は本来、匂いがないもの。しかしだからこそ、今いる場所の空気に、昔誰かと過ごした時間の温もりを重ねることができる。そうやって、個人的な記憶が世界全体の感触とつながっていく。ここで「嗅ぐ」という行為が、単なる感覚以上の意味を持ちはじめているのではないでしょうか。
「どうせ失う」と分かっていても、それでも何かをすくい取ろうとする。この”失う前提でなおすくう”という姿勢こそが、この作品の核になっているように感じました。
その後Cメロの歌詞が続きます。
目で見てみないと
冒険しないと
ワクワクが腐るから
外へ出たい
壮大な景色を
想像してる今日も
消えちゃいたい夜も
私の導火線
「目で見てみないと/冒険しないと」というフレーズは、主人公が”自分から動く”ことを決意する場面を表現しているのだと思います。ただ想像しているだけでは、ワクワクする気持ちもだんだん色あせてしまう。それくらい感情はナマモノで、時間が経つと腐ってしまうことを、主人公は知っているのかもしれません。
だからこそ、安心できる場所にとどまらずに、外の世界へ踏み出そうとしているのではないでしょうか。未知の場所へ向かう勇気が、ここでははっきりと示されています。
次に出てくるフレーズも印象的です。気持ちが高まっているときだけでなく、落ち込んで「消えてしまいたい」と思うような夜も、どちらも”導火線”として同じように自分を動かす力になると。そう言い切っているのです。
大森くんの描く歌詞が強く響く理由のひとつは、ネガティブな感情を無理に押し込めないことにあると思います。悲しさや苦しさも、「なかったこと」にはせず、むしろエネルギーとして活かす。その設計が、現実を生きるリスナーの心にしっかりつながるのです。
ここまでの流れを見ると、主人公は「香り=記憶」という内面の世界から、「冒険=行動」へと意識を広げていっています。このCメロは、内側を見つめるだけだった主人公が、いよいよ実際に動き出そうとする橋渡しのパートになっているのではないでしょうか。
そしてラスサビの歌詞。
「愛してる」
ならもう聞かないよ
この先もずっと抱きしめていて欲しい
私は往く また感じた方へ
ただただ信じて そばに居て欲しかった
「『愛してる』なら〜抱きしめていて欲しい」というフレーズでは、最初に拒んだ「愛してる」という言葉が、再び登場します。しかし今回は、その意味や求め方が変わっています。言葉としての「愛してる」を確認したいのではなく、抱きしめてくれる”温もり”がこれからも続いてほしい、という願いに変わっているのです。
瞬間的な安心ではなく、長く続く安心を求めるようになっている。この変化には、感情の成熟が表れているように感じます。
そして「私は往く」の「往く」という漢字も印象的です。「行く」ではなく「往く」と書くことで、”ただ向かう”だけではなく、”強い意志を持って進む”というニュアンスが加わります。「嗅ぐ」=感じ取ることから、「往く」=選び取ることへ、主人公のモードが変わったことが、ここで視覚的にも示されているのではないでしょうか。
「また感じた方へ〜そばに居て欲しかった」という部分では、頭で考えるよりも、自分の感覚に従って生きるという姿勢がはっきりします。「正しさ」ではなく、「感じるまま」に生きていきたいという強い気持ちがにじんでいるのです。
最後はこの歌詞で終わります。
「あぁ 生きてる」
なんてそう思えやしないよ
今だけ香りに包まって
私は知る
完璧な思いはこの世に無いと
私を嗅ぐ
独りじゃないと
私を嗅ぐ
この曲の中でも最も印象的なのが「『あぁ 生きてる』なんてそう思えやしないよ」という一言です。生きている実感なんて、簡単には得られない。そんな正直なつぶやきのすぐ後に、「今だけ香りに〜この世に無いと私を嗅ぐ」と続きます。ここで初めて、主人公が「自分自身」を嗅ぐのです。
これまでは「貴方」の匂いを通して救いを感じようとしていたのに、今は「自分の匂い」を受け止めようとしている。
つまり、他人のぬくもりや思い出にすがるのではなく、自分自身の体温や存在感を感じ取ることが、「救い」へとつながっているということではないでしょうか。過去や他人に包まれながらも、最後には自分を嫌わずに受け入れる。この変化がとても重要です。
そしてラストの「独りじゃないと/私を嗅ぐ」という言葉は、「誰かがそばにいてくれるから独りじゃない」と思うのではなく、「自分自身を感じ取った結果として、独りじゃないとわかる」という静かな確信で締めくくられます。他者に依存せず、自分の感覚と存在を通して安心を得る。その姿勢が、この曲『フロリジナル』を、「依存の歌」ではなく「自立の歌」として完結させているのです。
ぜひ歌詞の意味にも注目しながら、この曲『フロリジナル』を聴いてみて下さい!
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