SEKAI NO OWARI(セカオワ)『Habit』の歌詞とその意味&魅力について考察していきます。
この曲は、16thシングル『Habit』としてリリースされた一曲。
映画『ホリック xxxHOLiC』の主題歌として書き下ろされました。
一体歌詞にはどんな意味が込められているのでしょうか!?
順を追って紐解いていきたいと思います。
後半ではこの楽曲の意味などについて詳しく書いているので、是非最後まで目を通してみてください!
それでは早速『Habit』の歌詞から紹介していきます。
あくまで筆者自身が解釈したものになるので、一つの参考として受け取っていただけると幸いです。
SEKAI NO OWARI『Habit』歌詞
歌手:SEKAI NO OWARI
作詞:Fukase
作曲:Nakajin
収録:16thシングル『Habit』
発売日:2022年6月22日(水)
君たちったら何でもかんでも
分類、区別、ジャンル分けしたがる
ヒトはなぜか分類したがる習性があるとかないとか
この世の中2種類の人間がいるとか言う君たちが標的
持ってるヤツとモテないやつとか
ちゃんとやるヤツとヤッてないヤツとか
陰キャ陽キャ?
君らは分類しないとどうにも落ち着かない
気付かない本能の外側を
覗いていかない? 気分が乗らない?
つまり それは そんな シンプルじゃない
もっと 曖昧で 繊細で 不明瞭なナニカ
例えば持ってるのに出せないヤツ
やってるのにイケないヤツ
持ってるのに悟ったふりして
スカしてるうちに不安になっちゃたりするヤツ
所詮アンタはギフテッド
アタシは普通の主婦ですと
それは良いでしょう? 素晴らしいでしょう?
不可能の証明の完成なんじゃない?
夢を持てなんて言ってない
そんな無責任になりはしない
ただその習性に喰われないで
そんなHabit捨てる度 見えてくる君の価値
俺たちだって動物
こーゆーのって好物
ここまで言われたらどう?
普通 腹の底からこうふつふつと
俺たちだって動物
故に持ち得るOriginalな習性
自分で自分を分類するなよ
壊して見せろよ そのBad Habit
大人の俺が言っちゃいけない事言っちゃうけど
説教するってぶっちゃけ快楽
酒の肴にすりゃもう傑作
でもって君も進むキッカケになりゃ
そりゃそれでWin-Winじゃん?
こりゃこれで残念じゃん
そもそもそれって君次第だし
その後なんか俺興味ないわけ
この先君はどうしたい?
ってヒトに問われる事自体
終わりじゃないと信じたいけど
そーじゃなきゃかなり非常事態
君たちがその分類された
普通の箱で燻ってるからさ
俺は人生イージーモード
ずっとそこで眠っててアラサー
俺はそもそもスペックが低い
だから足掻いて足宛いて醜く吠えた
俺のあの頃を分類したら
誰の目から見ても明らか
すぐ世の中、金だとか、愛だとか、運だとか、縁だとか
なぜ2文字で片付けちゃうの
俺たちはもっと曖昧で
複雑で不明瞭なナニカ
悟ったふりして驕るなよ
君に君を分類する能力なんてない
俺たちだって動物
こーゆーのって好物
ここまで言われたらどう?
普通 腹の底からこうふつふつと
俺たちだって動物
故に持ち得るOriginalな習性
自分で自分を分類するなよ
壊して見せろよ そのBad Habit
俺たちだって動物
こーゆーのって好物
ここまで言われたらどう?
普通 腹の底からこうふつふつと
俺たちだって動物
故に持ち得るOriginalな習性
自分で自分を分類するなよ
壊して見せろよ そのBad Habit
『Habit』歌詞の意味&魅力
楽曲タイトル『Habit』を和訳すると、“癖, 習性, 習慣”といった意味になります。
作詞を担当したFukaseさんは、歌詞について朝の情報番組『めざまし8』にて下記のように語っていました。
歌詞を書く時間が全然なくて、1日くらいしかなくて。前日に(新型コロナの)ワクチンを打っていて副反応で38.5℃の高熱が出てしまったんです。なんでこんなにタイミングが悪いんだというイライラ全部歌詞にぶちまけました。
関連動画が10億回再生を突破した超大ヒット作品が、まさか一日で作詞されていたなんて衝撃です。しかも高熱の中で…。
公式MVの紹介
YouTubeにて公開されている公式MVがこちら。
ここからは歌詞解説をしていきます。
1番:歌詞の意味
まずは冒頭Aメロ前半部分の歌詞から。
君たちったら何でもかんでも
分類、区別、ジャンル分けしたがる
ヒトはなぜか分類したがる習性があるとかないとか
この世の中2種類の人間がいるとか言う君たちが標的
持ってるヤツとモテないやつとか
ちゃんとやるヤツとヤッてないヤツとか
このパートで歌われるのは、私たち人間の<Habit(癖や習性)>について。
その習性とは、何でもかんでも分類したがるというもの。
持ってるとか持ってないとか、ちゃんとやるヤツかやれないヤツかとか、いつもそんな二元論でラベリングしたがる君たちに向けて書いた曲だと歌われています。
<ヤツ>という言葉からも分かるように、おそらくFukaseさんはそんな君たちに強い嫌悪感を抱いているのではないでしょうか。
そしてAメロ後半部分の歌詞。
陰キャ陽キャ?
君らは分類しないとどうにも落ち着かない
気付かない本能の外側を
覗いていかない? 気分が乗らない?
このパートでも、何でもかんでも分類したがる人間の習性ついて歌われているようです。
あの人は陰キャでこの人は陽キャとか。
私は陽キャで君は陰キャとか。
必ずどちらかに分類しようとする人への皮肉が歌われているように感じられます。
<気付かない本能の外側>とは、”君たち”の思う分類の外側にあるもののことを指した言葉ではないでしょうか。
自分には見えていない第3第4の人間たちが無限に存在しているはずなのです。
にもかかわらず、世の中の人間を二種類に分けようとする行為は、君たち自身の弱さの象徴であり愚行なのだと言っているように感じます。
だからこそ、まずは人間を分類することを辞めてみないかとFukaseさんは主張しているのですが、そう簡単にいかないのが世の常なのです。
<覗いていかない?>
<気分が乗らない?>
という言葉の先には「まぁ君たちみたいな弱い人間は結局いつまでも変わらないよね?」と続くのかもしれません。
続く1番Bメロの歌詞。
つまり それは そんな シンプルじゃない
もっと 曖昧で 繊細で 不明瞭なナニカ
ここで歌われるのは、人間は2つに分類できるほど単純な生き物ではないというFukaseさんからのメッセージ。
<もっと曖昧で繊細で不明瞭>と歌われるように、一人ひとりの人間は十人十色に皆違っていて、目には見えない様々な要素が絡み合っているということです。
それは分類の数を増やせばいいということでもなく、<ナニカ>と続くように、君たちにもFukaseさん自身にも分類できるものではないのだと教えてくれている気がします。
そして1番A’メロ前半部分の歌詞。
例えば持ってるのに出せないヤツ
やってるのにイケないヤツ
持ってるのに悟ったふりして
スカしてるうちに不安になっちゃたりするヤツ
このパートでは、Aメロの歌詞の伏線回収がされているように感じます。
Aメロ部分で<持ってるヤツ>や<やってるヤツ>と分類された人の中にも、例えば<持ってるのに出せないヤツ>や<やってるのにイケないヤツ>という中間的な人もいることを示しているのではないでしょうか。
はたまた、出せないわけではないけど調子に乗っているうちに不安になっちゃう人たちもいるのです。そう考えると、到底二元論では片付けられませんよね。
例を挙げながらそんな現実を分かりやすく、そして皮肉交じりに教えてくれているのだと思います。
続く1番A’メロ後半部分。
所詮アンタはギフテッド
アタシは普通の主婦ですと
それは良いでしょう? 素晴らしいでしょう?
不可能の証明の完成なんじゃない?
<ギフテッド>とは、生まれつき突出した才能を授かった人のことを指す言葉。
ここで使われている意味合いとしては、”天才”と言い換えられるかもしれません。
そして、それと相反する存在として描かれているのが<主婦>です。
アタシは天才とは違うただの主婦であることを言い訳にして、何もかも簡単に諦めてしまっていないかい?と問いかけているのだと思います。
そうやってまた人を分類して、自分には不可能だと決めつけているんじゃないの?と。
最後に登場する<不可能の証明>とは”悪魔の証明”とも呼ばれ、ないこと・できないことを証明する論法のことを指します。
本来それは非常に難しく、現実的には<ないこと・できないこと>を証明するのは不可能に近いと言われるものです。
“人は不死身になれるか否か”という題材が分かりやすいかもしれません。
一般的に考えると”不死身にはなれない”が回答になりそうですが、科学の発展で数万年後には不死身になれる可能性があると言われてしまえば、不死身になれないとは言い切れなくなりますよね。
様々な可能性を考えると”不死身になれないとは言えないが、現状の人間は不死身ではない”という結論になります。
しかし、このパートの歌詞のように二元論で全てが決まってしまう世界ならば<不可能の証明が完成>してしまうのです。
それはもちろん皮肉たっぷりの言葉。
勝手な分類で不可能が証明できるほど簡単なものではありません。
たとえ今は普通の主婦だとしても、夢や理想を実現できる可能性もあるはずなのです。
このパートからは、本来証明できるはずもない自分の可能性を、自らの手で閉ざすなんて可愛そうだねと言わんばかりの苛立ちが伝わってきました。
その後Cメロの歌詞が続きます。
夢を持てなんて言ってない
そんな無責任になりはしない
ただその習性に喰われないで
そんなHabit捨てる度 見えてくる君の価値
これまで痛いほど歌われてきた、分類したがりな人に対する嫌悪感ですが、Fukaseさんは彼ら彼女らに対してもっと大きな夢を持てなどとは言っていません。
なぜなら、一人ひとりの人生には様々な事情があるはずだから。ただ、人を分類することは一度辞めてみてほしいと訴えているのです。
その習性が君の価値をせばめているだけで、本当はもっと可能性に満ちた人間なのだと。
強く優しく聴く人の背中を押してくれているのではないでしょうか。
棘のある言葉が度々登場していますが、その根底にはFukaseさんの愛情が存在しているように感じます。
そして1番サビの歌詞。
まずは前半部分から。
俺たちだって動物
こーゆーのって好物
ここまで言われたらどう?
普通 腹の底からこうふつふつと
よく見るとこの曲は、1番2番を通して君と俺(Fukaseさん)という2つの視点から描かれていることが分かります。
とすると、ここで登場する<俺たち>とはFukaseさん側の人間のことではないでしょうか。そして<動物>というのは、本能のままに生きる人たちを比喩的に表した言葉のように思えます。
それはまさに”君たち”のようなBad Habitを捨てられない人間のことなのです。
さらに続く<こーゆーの>とは、これまで歌われてきたような二元論者への嫌味を吐き捨てる行為をさしているように感じました。
以上を踏まえて考えると<俺たちだって動物 こーゆーのって好物>とは、”俺(Fukaseさん)も君たちみたいに愚かな人間だから、嫌味をたれて攻撃するのが大好きなんだよね”といった意味として捉えられそうです。
<ここまで言われたらどう?>とは、”Fukaseさんからここまで嫌味を言われた今の気持ちはどう?”という意味ではないでしょうか。
皮肉たっぷりに「流石に鈍感な君たちもイライラしてきたでしょ?」と畳み掛けるように問いかけているように思えます。
そして1番サビ後半の歌詞がこちら。
俺たちだって動物
故に持ち得るOriginalな習性
自分で自分を分類するなよ
壊して見せろよ そのBad Habit
1番サビ前半部分に引き続き、ここでも皮肉たっぷりな言葉が歌われます。
<故に持ち得るOriginalな習性>とは、”俺たちも君たちと同じ動物だから、嫌味や皮肉で攻撃することがやめられないの”というニュアンスでしょうか。
君たちがBad Habitを捨てられないのと同じように「俺も辞められませーん、ごめんね♡」と、超攻撃的なことが歌われているように感じるのです。
しかし最後は、本当に伝えたい大事なメッセージが歌われます。
<自分で自分を分類するな>
<そのBat Habitを壊せ>
『Habit』は、このメッセージを届けるための曲なのです。
2番:歌詞の意味
まずは冒頭2番Aメロの歌詞から。
大人の俺が言っちゃいけない事言っちゃうけど
説教するってぶっちゃけ快楽
酒の肴にすりゃもう傑作
でもって君も進むキッカケになりゃ
そりゃそれでWin-Winじゃん?
こりゃこれで残念じゃん
そもそもそれって君次第だし
その後なんか俺興味ないわけ
2番からは俺(Fukaseさん)の話が中心に描かれます。
<説教>とは、1番で歌われた何でもかんでも分類したがる君に対する皮肉を吐くこと。
1番サビで<こーゆーのって好物>と歌われたように、正直それは快感なのだと言っているのではないでしょうか。
それもまた人間の習性なのかもしれませんが、人間は他人よりも優位に立つ心地よさや、人の欠点を攻撃する快感を知っている生き物なのだと思います。
そして、その説教がましい皮肉で、君が変わるキッカケを作れるなら<Win-Winじゃん?>と問いかけるのです。
しかし1つ重大な問題があります。
それは、君が変わるキッカケになるかどうかは”君次第”であるということ。
説教を聴いた君が自分自身の行動を変えられるかどうかは、Fukaseさんがコントロールできるものではないということなのです。
もはやFukaseさんからすれば、君がどうなろうと知ったこっちゃないのですが、そうなると<Win-Win>の関係にはなれません。
それが少し<残念>でもあるのではないでしょうか。
<君のその後に興味はない>とは言うもののどうせなら何かしらのキッカケにしてほしいという、Fukaseさんなりの愛のメッセージのようにも捉えられそうです。
この先君はどうしたい?
ってヒトに問われる事自体
終わりじゃないと信じたいけど
そーじゃなきゃかなり非常事態
ここで歌われているメッセージを一言で表すならば、自分の人生は自分の手で舵をきれということ。十人十色、一人ひとり違った人生があって、そこに正解などありません。
常に自分と向き合い、自分の行く先を決めていく必要があるのです。
しかし、多くの人は正解を探すことに必死になり、誰かが作った道をなぞるようにして生きているのではないでしょうか。
そんな君たちに向けて、それはかなり非常事態だと警告してくれているのだと思います。
君たちがその分類された
普通の箱で燻ってるからさ
俺は人生イージーモード
ずっとそこで眠っててアラサー
ここで歌われる<分類された普通の箱>を言い換えるならば、”敷かれたレールの上を進むだけの人生”と言えるかもしれません。
君たちがそんな人生を歩んでくれるおかげで、自分の<人生はイージーモード>なのだと歌われます。
なぜなら、言われたままにしか生きることができない人が多ければ多いほど、自分の頭で考えることのできる人間が成功できる確率は上がるから。
だからこそ君たちが<普通の箱>で眠っててくれる方が正直都合が良いのだと、皮肉たっぷりに煽っているのだと思います。
俺はそもそもスペックが低い
だから足掻いて足宛いて醜く吠えた
俺のあの頃を分類したら
誰の目から見ても明らか
このパートで歌われるのはFukaseさんの人生そのもの。
実はFukaseさんは、ADHDと診断されて閉鎖病棟に入院していた過去があり、その時は人生のどん底だったと語っています。
その後は医者を目指して勉強を頑張っていたそうですが、薬の影響で記憶をなくしその道も閉ざされてしまったそうです。
そんな<あの頃>の人生を、<そもそもスペックが低い>という言葉で表現しているのではないでしょうか。
Fukaseさんの過去を分類するとすれば、<持ってるヤツ>や<イケてるヤツ>とはいい難いですよね。しかし、今は違います。
多くのファンに支持される、日本を代表するアーティストになることができました。
それは自分の可能性に蓋をすることなく、なんとか人生を切り拓こうと足掻き続けてきたからこそなのだと思います。
そんな自分の実体験を歌うことで、より一層この曲の歌詞に重みが増しているのです。
すぐ世の中、金だとか、愛だとか、運だとか、縁だとか
なぜ2文字で片付けちゃうの
俺たちはもっと曖昧で
複雑で不明瞭なナニカ
悟ったふりして驕るなよ
君に君を分類する能力なんてない
ここで改めて、人間の悪い習性について歌われます。
何でもかんでも二元論で分類するように、何もかもを自分のものさしで決めつけるよねと言っているのではないでしょうか。
本来は人の数だけ正解があって、そのどれもが尊重されるべきものであるはずなのに現実は違うのです。
全てを悟ったような顔して自分の正義を振りかざす人がいることが、残念でならないのだと思います。
そんなBad Habitをどうにか壊してみせてみろよ!と、最後まで強く訴えかけるFukaseさんがいるのです。
(2番サビと続くラスサビは、1番サビと同様なので割愛します)
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